おはようございます。朝の電車は、憂鬱が充満していてあまり好きではありません。反対に夕方の電車は、穏やかな空気が漂っているのでわりと好きです。
電車に揺られているといつも思い浮かぶのが、浅野いにお先生の漫画『ソラニン』のワンシーンです。仕事をやめた芽衣子さんが平日の昼間から河原でビールを飲むんですよね。
べつに電車とはなんの関係もないのですが、なぜかこのシーンが思い浮かびます。きっと羨ましく思ってしまうのでしょう。そろそろ先のことも考えないとなあ。先生の次は何をしよう。どうも、インクです。
ずっと思っているんだけど「感想が言えること」ってそんなに重要か?
ずっと思っているんだけど「感想が言えること」ってそんなに重要か?
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年6月17日
学校ではことあるごとに感想を言わせます。ほかの人の発表を聞いたら感想。他学年と交流したら感想。校外学習に行ったら感想。運動会をしたら感想。感想、感想、感想、感想。
感想を言うことってそんなに大切なことなのでしょうか。自分が子どものころからずっと疑問でした。「ここで感想を言うことで何がどうなるんだろう?」と思っていました。
学校にいるとよくこんな場面を見かけます。「はい、感想をどうぞ。 ...... え!感想ないの?あなたたちはこの時間なにをしていたの?」と先生が声をかけ、子どもたちがしぶしぶ手を挙げるのです。
これ、何なのでしょうね。子どもたちも、先生の圧で手を挙げているだけなので、大した感想を言いません。「はじめてだったけどおもしろかったです」とか「上手にできてよかったです」とか。
思ったことを言語化する練習なのでしょうか。もしそうなのだとしたら、もっと正直であることを許容しなければなりません。
子どもたちに感想を言わせると、どうしても「それらしいこと」を言おうとするのです。「楽しかったです」とか「嬉しかったです」とか。まあ、聞いていておもしろくないんですよね。子どもたちは感想を要求されすぎて、もはや「こう言っておけばいいだろう」と思ってしまっています。
反対に言えば、大人がそう思わせてしまっているということです。大人たちが勝手に「教育的観点」をもって、感想に良し悪しをつけてしまっているからこういうことになるのです。
そのせいで「楽しくなかった」や「おもしろくなかった」という感想が選択肢から削除されてしまっています。「楽しくなかった」と言ってもいいのです。「おもしろくなかった」と言ってもいいのです。
「校外学習に行きました。楽しかったです」ではじまる作文と「校外学習に行きました。あまりおもしろくありませんでした」ではじまる作文と、どちらを読んでみたいと思いますか。
ここはもしかすると分かれるところなのかもしれませんが、筆者は断然ふたつ目の感想文を読んでみたいなと思います。
基本的に人の感情って、正よりも負の方が複雑でおもしろいんですよね。「校外学習に行きました。あまりおもしろくありませんでした。なぜなら電車でうるさくして先生に怒られてしまったからです」とか「校外学習に行きました。あまりおもしろくありませんでした。なぜならお弁当の中にトマトが入っていたからです」とか。こちらの方がつづきを読みたくはなりませんか。
きっと負の感情の方がバリエーションが多いのでしょう。えんぴつの立て方は1通りしかないけれど、倒れ方は無限にあるというわけです。
そういう意味でも、感想はもっと自由でなくてはなりません。校外学習の感想文で、弁当に入っていたトマトのことを延々と語ってもいいのです。運動会の感想文で、靴紐が上手に結べなかったことを延々と書いてもいいのです。
自分の感情がどこで揺れ動き、結果的にどうなったのか。それらを表現することができれば絶対におもしろい感想になるはずなのです。
要するに、今の学校で行われている「感想を言う」という活動は「嘘をつく練習」になってしまっているというわけです。もしくは「空気を読んでそれらしいことを言う練習」とでも言いましょうか。
もちろん生きていく上では必要になる力なのかもしれませんが、本来のねらいとは大きくズレてしまっています。感想を言わせるのなら「自分の思いをより忠実に表現する練習」として成立させなければならないのです。
なんだかループしているようで申し訳ないのですが、そのためにも否定的な感想も許容しなければならないのです。否定的な感想がよいと言っているわけではありません。感情表現を大人の価値観で限定してしまうのはどうなんだという話です。
より具体的な例を挙げると「大人だけズルい!と思うこと」とか「子どもだって大変なんだ!」というようなテーマで作文を書かせると、とてもおもしろいものができあがります。まあ、感想文ではないんですけどね。
少なくとも、子どもたちがなかなか感想を言うことができないのは、子どもたちの思考力や表現力がないからではなく、大人の仕掛け不足が大半なのではないでしょうか。
本日も最後まで読んでくださってありがとうございました。ぜひ感想を。... え? 感想がないって? あなたは一体この時間、なにをしていたのですか?
【お知らせ】
らいざさん(@rize_up_high)と らぱんさん(@lapinHSP)に、ゲストであるイスップさん(@bstogs)を加えて、みんなでおしゃべりをする会「らぱいんざWORLD」を開催します。現在、聞き手および、この4名への質問を募集しています。興味があってもなくてもぜひ遊びにきてください。あなたのご参加をこころよりお待ちしております。
日程:2020年6月26日(金)21時から
場所:ZOOM
◯ 聞き手募集 → 下のツイートにリプ or DM
(現在11名からお聞きしています)
【#らぱいんざWORLD】聞き手を募集します。6月26日(金)21時スタート。 pic.twitter.com/PoLpKXeExG
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年6月13日
◯ 質問募集 → 下のツイートにリプ
(現在5件いただいています)
【#らぱいんざWORLD】リプ欄にて3人+ゲスト(@bstogs1 )への質問を募集します pic.twitter.com/FskXOP1kRP
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年6月13日