ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【日】うまくいかないときは戻る。 これが意外と難しい。

 

 おはようございます。昔からマスクをつけることが苦手です。口と鼻の両方を覆われてしまうと、息苦しくてやってられません。しかも普段からメガネをかけているので、とにかく曇って仕方がないのです。

 そんなマスクが必需品として扱われる時代になってしまいました。どれだけ息苦しくても、小学校の先生が、つけないわけにはいきません。隙あらば鼻だけ出して、一生懸命に酸素を取り込んでいました。

 はじめは一時的なものだろうと思って何とかがんばって耐えていたのですが、どうやらマスクの時代が終わる気配を見せません。こうなれば、いかに「マシなマスク」をみつけるかという勝負になります。

 形から素材まで、いろいろと試しました。その結果、ようやく「マシなマスク」と出会うことができました。息苦しさもほどほどで、メガネも曇りづらい、そんなマスクです。「せっかくみつけたのに」だなんてことは言わないので、少しでも早くマスクを外せる世界になってほしいものです。どうも、インクです。

 

うまくいかないときは戻る。これが意外と難しい。

是非の初心忘るべからず。

時々の初心忘るべからず。

老後の初心忘るべからず。

 誰もが知っている「初心忘るべからず」は、世阿弥の『花鏡』に登場することばです。一般的には「はじめたころの志を忘れてはならない」という意味でつかわれることばですが、上の引用を見ていただければわかるとおり、3つのパートに分けられています。

 1つ目の「是非の初心忘るべからず」が、みなさんがよく知っている「はじめたころの志を忘れてはならない」という意味で用いられていることばです。

 2つ目の「時々の初心忘るべからず」は、また少し違って「年齢に合った挑戦をするということは、その段階における初心者だということなので、そのひとつひとつを忘れてはならない」という意味です。

 3つ目の「老後の初心忘るべからず」も同様に、前の2つとは少し違って「老後になってはじめてできることがあり、そこには必ず初心があるのだから、慢心してはならない」という意味で用いられています。

 要するに、人生には「初心」がいくつもあるというわけです。あまりこの例えは好みじゃないのですが、RPGでいうところのセーブポイントのようなものです。体力がすり減ったら、そこへ戻ってくるのです。

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 この「戻る」という行為が、意外と難しかったりします。やったらやった分だけ前に進んでいないと、不安になりますからね。言わば「戻る」ことで、自分の過去を否定しているかのように思えてしまうのです。

 教科学習でもまったく同じことが言えます。因数分解がわからなければ、式の展開に戻らなければなりません。式の展開がわからなければ、文字式のきまりに戻らなければなりません。後のことを考えると、無理に進もうとするよりも、戻った方がよいのです。

 頭ではよくわかっています。それでも、まわりの目が気になったり、自身のプライドが邪魔をしたりして、なかなか戻ることができません。こうしてうやむやにしたまま、前に進んでいるつもりになって、結局は大切なものを取りこぼしていくのです。

 その点で言えば、AIによる個別最適化学習は優秀ですよね。ひとりに1台のタブレットがあり、はじめから人によって違うことが前提にあるので、なんの抵抗もなく「戻る」という道に進むことができます。

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 学級経営においても、戻ることは大切です。いちどできるようになったことは、時間が経てばできなくなってしまうものです。そんなとき、学校の先生は子どもたちに向かってネチネチと嫌味を言いはじめます。

 「できたことができなくなるのは、サボっていることと同じです」とか「できないことに怒っているんじゃなくて、できるのにやらないことに先生は怒っているんです」とか。そりゃあ、できなくもなりますよ。

 学校での時間は「生活」ですからね。常に全力を注いでがんばりつづけられるわけではありません。そこには必ず波があって、上がり幅と下がり幅の差分が、集団としての成長を表しているのです。

 だからここでも同じです。できていたところまで、躊躇うことなく戻ります。当時はなぜできたのかを考え、そのときの感覚をもういちど思い出すわけです。

 このときに、学級目標に立ち返ることができたらベストです。ちゃんと機能しているのなら、これが可能なはずです。ところが、それっぽい曖昧な学級目標を立ててしまっていたら、立ち返るポイントにはなりません。だから結構大切なんですよ、学級目標って。

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 これらができるようになれば、今度は意図してセーブポイントをつくるようになりはじめます。世阿弥の言う「時々の初心」を意識化していくのです。

 そうしておけば、うまくいかないときに素早く戻ってくることができます。何度も言いますが、迷ったり躊躇ったりしている時間はもったいないですからね。

 うまくいかなかったらすぐに戻ること。ものごとを前に進めていくためには、実はとても大切なことなのです。あなたは、戻ることのできる明確なポイントをいくつもっていますか。また、いざというときには、躊躇わずにそこへ戻ることができますか。

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【今後の予定】

①12月16日(水)こきけんよう Vol.23

①12月18(金)スナックらいざ Vol.8

 

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