おはようございます。子どものころは「カゼギミ」という名前の病気だと思っていました。「コウナイエン」だって、まさか口の中の炎症がすべて含まれるとは思ってもいませんでした。
そう考えると、やはり漢字ってすごいですよね。さすがは表意文字です。「風邪気味」「口内炎」という字を見れば、どのような意味なのかが一目瞭然です。
反対に、漢字を見ても意味を読み取ることができない子どもたちだからこそ、捉えられるイメージもあるはずです。いちど意味を知ってしまったら、知らない状態には戻れませんからね。
まさに「かまいたち」が M-1で披露していた「トトロを観たことがない」というあの漫才です。たくさんのものごとを知っていることはもちろんすごいことですが、知らないことにも大きな価値があるのかもしれません。どうも、インクです。
「同じクラス=友だち」ではないぞ
「同じクラス=友だち」ではないぞ
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年1月11日
同じクラスの友だちなんだから話しかけてあげなさい。同じクラスの友だちなんだから手伝ってあげなさい。同じクラスの友だちなんだから。同じクラスの友だちなんだから。同じクラスの友だちなんだから。
このことばを聞くたびに「どうして同じクラスになったら自動的に友だちになるんだ」と、子どものころからずっと思っていました。
クラスを決めたのは大人です。自分で選んだわけではありません。しかも、そのクラスには自分とはちがう人間が30人近く集まっています。
30人もいれば、そりゃあ「合う/合わない」も出てきます。さらに、その30人が二人組をつくったりグループをつくったりするわけですから、関係性の組み合わせは無限にあります。
そんな状況下で「同じクラス=友だち」が成立するわけがないではありませんか。友だちと呼べる関係になる人と、そうではない人とがいて当然なのです。
それにも関わらず、どうして「同じ友だちなんだから」だなんていうことばが出てくるのかというと、友だちでいてくれた方が大人にとっては楽だからです。
便利なんですよね、このことば。理由としてまかり通ってしまう上に「いや、あの子とは友だちじゃない!」と否定することもできません。
友だちだから話しかけるのは当然だ。友だちだから手伝うのは当然だ。友だちだから協力するのは当然だ。友だちだから仲直りするのは当然だ。
こんなよくわからない暴論が、根拠のある意見として成立してしまうというわけです。卑怯な言い回しですよね。「友だちという関係を結ばせて都合がいいのはあなたでしょ」と言いたくなります。
こんなことばがあるせいで、クラスには「友だちをつくらなければならない」という空気が充満しています。友だちがいることが正義であり、友達がいないことが悪になるのです。
たまたま近くに住んでいた同い年が30人集められただけです。だれとも気が合わない可能性だって十分に考えられます。
無理して友だちをつくる必要なんてありません。話してみたらおもしろくて、気がつけば友だちになっていた。話してみたらおもしろくなくて、気がつけば接点がなくなっていた。それでいいではありませんか。
さらに言えば、今後の関係性を決めていくのは本人たちです。「同じクラスだからあなたたちは友だちです」と、他者が規定できるものではないのです。
べつに友だちになること自体を否定しているわけではありません。友だちがいれば学校生活は、より楽しく、充実したものになるでしょう。
しかし、そんな幻想が前面に押し出されることで苦しむ子どもたちがいることを忘れてはなりません。友だちなんていなくてもかまわないのに、まわりの人たちからは寂しい人だと思われて、大人たちからは余計な心配をされてしまうのです。
そして「同じクラスなんだから一緒に遊びなさい」と無理やり苦手な集団に入れられて、そして「やっぱり遊ばないほうがよかった」という思いを積み重ねていくことになるわけです。
大人たちは「仲間に入りたいけど入れないんだ」と勝手に解釈してしまいますからね。「仲間に入れない」のではなく「仲間に入らない」という選択をしているだけのです。
きっとその子には「この集団に入ってもいいことはない」ということがはじめから見えているのです。それにも関わらず、大人に無理やり引っ張り込まれて「ほらね、入ってよかったでしょ」と言わんばかりのドヤ顔を見せつけられるのです。
「一緒に遊んだけどつまらなかった」だなんて言えないではありませんか。角が立ちますからね。それを防ぐためにも、気をつかって、がんばって、それらしくニコニコして振る舞っているのです。
そこにドヤ顔の追い討ちはなかなかにキツいものがあります。「オレのお陰で友だちができてよかったね」と思っているわけですからね。余計なお世話の上に勘違いが重なっているのです。
なんだか後半は悪口みたいになってしまいましたが、とにかくこのような空気感をつくり出しているのは大人だぞという話です。
いつまでも子ども心を忘れていないつもりなのかもしれませんが、あなたはとっくに子どもとはちがう世界を生きてしまっています。
子どもに向かって発しようとしているそのことば、本当は大人にとって都合がいいだけではありませんか。しかも、それを子どものせいにしようとしてはいませんか。便利なことばほど、もういちど疑ってみなければならないのではないでしょうか。
【お知らせ:7/24】
第2回「らぱいんざWORLD」の開催が決定しました。らいざさん(@rize_up_high)と らぱんさん(@lapinHSP)といっしょに、ゲストを招いておしゃべりします。第2回ゲストは、第1回ゲストである イスップさん(@bstogs1)にテレホンショッキング形式で紹介していただいた にょんさん(@EyzNo)です。ちなみに筆者はまったくといってもいいほど絡みがありません。おもしろくなることは間違いありませんが、はたしてどうなることやら。
現在、聞き手を募集していますので、興味のある方もない方も、イヌもサルもキジも、画面の前のあなたも、ぜひご参加ください。参加希望はツイッターのDMにてお受けしております。自分なんかが行ってもいいのかなという考えは捨てましょう。あなたのご参加をこころよりお待ちしております。