おはようございます。学期末には、保護者と担任が教室で10分ほど話をする「個別懇談会」というイベントがあります。みなさんが子どものころにもあったはずです。何なら、保護者として参加したことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。
筆者は小学校で教員をしていますので、担任として個別懇談会に参加します。1日に10人弱の保護者と、10分ずつ順番に話をします。
大変そうだなと思うかもしれませんが、筆者はこの個別懇談会がめちゃくちゃ好きです。これだけたくさんの大人と話ができる機会なんて、まずありませんからね。しかも、話す内容は我が子のことなわけですから、こちらが熱量をもって話をすれば、それに合わせて話してくます。
たったの10分の間に熱量を共有して話をすることができるのです。たぶんこれ「子どものこと」じゃないと不可能なのだろうなと思います。短い間でしたが1学期はありがとうございました。2学期もまたよろしくお願いいたします。どうも、インクです。
タイマーが鳴ったときに「はい、終わり!」と言う必要はない
タイマーが鳴ったときに「はい、終わり!」と言う必要はない
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年7月27日
教室でいつも意識していることのひとつに「ことばを減らす」というものがあります。言わなくてもいいことは、なるべく言わないように努めています。
今日の記事のタイトルにもある「タイマーが鳴ったとき」も、そのひとつです。タイマーをつかうときは「あと5分ね」と制限時間を設定します。そして、5分が経過したら「ピピピッ」と音が鳴ります。
音がなったら終わりです。それを知らせるために音が鳴ります。それにも関わらず、学校の先生は、音が鳴ったあとに「はい、終わり!」と口にします。
これを言ってしまうのならタイマーの意味がありません。せっかく頑張って「ピピピッ」と音を出してくれているのだから、それでいいではありませんか。どうしてわざわざ同じことを言うのでしょう。
わざわざ同じことを言う理由に「タイマーの音だけでは終わろうとしない」というものがあります。テストなんてまさにそうですね。タイマーが鳴ったとしても、まだ書けていないところがあったら、がんばって書こうとします。
だからわざわざ「終わり!」と声に出すのです。これはもはや、卵が先か鶏が先かという話なのですが、筆者は「先生がわざわざ言うからタイマーで止まらなくなるのではないか」と思っています。
タイマーが鳴っても先生が「終わり!」と言うまでは続けてもいいということになりますからね。何度も言うように、それではタイマーの意味がありません。
「何をそんな小さなことをくどくどと言っているんだ」と思っているかもしれませんが、学校ではいたるところでこの現象が起こっています。学校の先生は、言いたがりで、でしゃばりで、目立ちたがりですからね。言わなくてもいいことまで、言おう言おうとしてしまうのです。
しかも、そういう先生に限って「わからないと思っている子もいるから」とか「子どもの不安を取り除いてあげるため」とか、いろいろなことを言いはじめます。そんなことばを聞くたびに、もうすこし長い目で見なければならないなと思います。
どれだけその場をやり過ごせたとしても、その時点で子どもたちはまったく頭をつかっていません。だって、何をすればいいかをぜんぶ教えてくれるんだもの。タイマーが鳴ったって、そんなことは知りません。「終わり」と教えてもくれるんだから、どうすればよいのかなんて考えなくてもいいのです。
要するに、先生の「はい、終わり!」というひとことが、子どもたちの思考の機会を奪っているというわけです。そりゃあ「指示待ち人間」だなんて揶揄もされますよ。指示してくれる人がいて、それに従ってさえいれば何の問題もなく過ごせたんだもの。
はじめの話に戻りますが、だからこそ、できるだけことばを減らすように努めています。ほかにも、休み時間の終わりに「時間だから座りなさい」とは絶対にいいません。全員の準備が整って、号令がかかるまでは筆者自身も自分の席に座っています。
図工や音楽などの移動教室も同様です。絶対に「並びましょう」とは言いません。それで仮に遅れるようなことがあれば、あとから教室でこう言います。「どうしてうまくいかなかったと思う?そして、次はどうすればいいと思う?」と。
ちなみにこのような対応を、よく「放任」と勘違いする人がいるのですが、何も言わずに放置していればいいというわけではありません。
たとえば、授業開始時刻に関しては、学級びらきの段階で「授業の終わりの時刻は絶対に守るから始まりの時刻は守ってね」という話をします。そして、約束したとおり、徹底して終わりの時刻を守ります。その下地があるからこそ「無言で待つ」が成立するというわけです。
また、うまくいかなかった場合の「次はどうする?」という話し合いでは、決まったことをすべて記録にのこします。そして、次の機会がやってきたら、その前の休み時間にこっそりと黒板にその記録を張り出します。
もちろんそこに書かれていることばは、子どもたち自身のこどばです。先生が「5分前行動!」と言ってるわけでも「遅れるからはやく並びなさい!」と言っているわけでもありません。自分たちのことばだからこそ、動くことができるのです。
もし、それでもうまくいかなければ、やり方を変えればいいだけです。頭を充分に働かせて、次はどうすればよいのかをみんなの話し合えばいいのです。言い方はわるいですが、偉そうな顔で指示を出してくる先生は、ここではただの邪魔者です。教室の隅で身を潜めて、ニヤニヤしながら子どもたちの様子を眺めていればいいのです。
【お知らせ:本日】
こきけんよう。先週は水曜日がなかったのでお休みでしたが、今週はいつもどおり開催です。筆者を含めた4人が、その場でトークテーマを決めて40分間べらべらとしゃべります。ええ、よくわからないでしょう。それでいいのです。よくわからなくてもとりあえず聞きにきてみればいいのです。「学校の先生じゃないんだけどいいのかな」とか「絡んだことがないけどいいのかな」とか、そんなことは考えなくてもいいのです。参加希望はツイッターのDMへ。あなたのご参加を心よりお待ちしております。