ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【日】返答にこそその人の度量が表れる

 

 おはようございます。3学期用の靴は購入したので、あとは眼鏡を買わなければなりません。モノを新調することで、気持ちも新たにしようという魂胆です。形から入ることは案外大切だと思っています。冬休み最後の1日。前向きに3学期を迎えられるように準備ができたらいいですね。どうも、インクです。

 

返答にこそその人の度量が表れる

  気の利いた返しができるようになりたい。誰もが一度は思ったことがあるはずです。しかし、そう簡単にできるものではありません。以前の記事にも書いた通りです。冗談はわかりやすすぎても、わかりづらすぎてもおもしろくありません。相手に冗談だと気づいてもらえるギリギリを攻めるからこそおもしろくなります。そのためには、相手のことをよく知っておかなければなりませんし、お互いの信頼関係が必要です。ときには瞬発力や大胆さが必要になることもあるでしょう。気の利いた返しとは、コミュニケーションにおける総合格闘技なのです。

taishiowawa.hatenablog.com

 ここ最近、少しずつフォロワーの方々とツイッターで絡むようになって、おもしろいやりとりが増えてきました。本当ならばタブーではあるのですが、今日は実際のやりとりを例に挙げながら解説していけたらなと思っています。引用させていただく方々は、勝手に晒すようなことをして申し訳ないのですが、おもしろかったのだから仕方ありません。寛大な心でご容赦ください。それではさっそく見ていきましょう。

 

 

1.風が吹けばくしゃみが出る:わだたかしさん

  ひとつ目に紹介するやりとりのスタートは、筆者のこんなツイートでした。たしか、東京旅行最終日です。風が強く吹いている日でした。「風」と言えば、三浦しをん先生の小説「風が強く吹いている」や、ジブリ映画の「風立ちぬ」、はっぴいえんどの「風をあつめて」など、連想するものはたくさんあるのですが、そんな中でも「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざを選択し、こんなツイートをしました。

 するとそれに反応してくれたのが「わだたかしさん(@kxJtE6Thp0uXDY6)」でした。ちなみにこの方が何者なのかは未だによくわかりません。自己紹介のいらないコミュニケーション。それがインターネットのいいところです。まあ、それはさておき、そんな「わだたかしさん」がこのようなリプライをくださいました。

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  なんともシンプルで無駄のないリプライです。こいつはなんと返したものか。少し頭を悩ませました。ただ、せっかく「ニャン」というワードをいただいているので、これは「ネコ」から繋げていくしかない。そう思い、次のような返事をしました。

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  ネコネタの詰め合わせです。ちょうど年末ということもあり、ひとつ目は干支のネタを。ふたつ目はかの有名な『吾輩は猫である』のネタを。そして、最後はやりとりの元でもある「風が吹けば桶屋が儲かる」のネタを並べました。ここでのひとつの賭けは、相手が『我輩は猫である』の内容を知っているかどうかです。これぞ気づいてもらえるかもらえないかのギリギリです。さあ、一体どうなるのでしょう。

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  このお返事をいただいて、『我輩は猫である』のネタがちゃんと伝わったのだと安心しました。わざわざ解説するのはあまりにも野暮ですが、「苦紗弥(くしゃみ)」は『我輩は猫である』の登場人物です。この人物名と、風邪を引いたときに出る「くしゃみ」とを重ねているわけです。今思えば、やりとりの発端でもある「風」とくしゃみの「風邪」もかかっていますね。お見事です。こんな素敵なリプに対して筆者は次のように返しました。

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  今度は「くしゃみ」から引っ張りました。二十億光年の孤独に僕は思わずくしゃみをした。谷川俊太郎の詩『二十億光年の孤独』の一節です。別に深い意味もなにもなく、単純に「くしゃみ」ということばから連想して、このことばを選びました。ある種、このあとのことは丸投げをしたわけですが、さらに素敵なリプが返ってきました。

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  なんのことだかわかるでしょうか。これは「くしゃみ講釈」という落語の演目のオチの手前にあたる部分です。「くしゃみ」というたったひとつのことばから、よくもこんなに引き出しが開くものだなとびっくりしました。ご存知の方も多いかもしれませんが「くしゃみ講釈」のあらすじを簡単に説明しておきますね。

 逢い引きを台無しにされ、その原因となった講釈師を恨む主人公。復讐に講釈を失敗させてやろうと企みます。はじめはコショウでくしゃみを出させて話せなくさせようと企んでいたのですが、あいにくコショウが売り切れていたので、唐辛子を代用することにしました。

 その計画は見事成功し、講釈師はくしゃみが止まらずロクに話せなくなりました。そんな様子を見て満足した主人公は、講釈場を去ろうとしますが、そこに講釈師が「何か故障(文句)でもおありか」と尋ねます。それに対して、主人公は「コショウがないから唐辛子」と答えるのでした。

 こんな落語を引き合いに出されたら、もうこちらには引き出しがありません。コショウから話を広げようにも、コショウのことなんて何も知りません。うんうんと悩んだ挙句、苦し紛れにこのように返してこのやりとりは終わりました。

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  もはや力任せです。いや、大魔王任せです。今読み返してみると、この勢いはこの勢いでおもしろいなあと思います。ここまでの一連の流れを見ていただいて、読者の皆様はどのように感じられたでしょうか。素敵だと思いませんか。このやりとり。それぞれのコメントの中に「相手のネタを理解したよ」というメッセージと「次に繋げるためのパス」が含まれています。だからこそ、安心して楽しみながら次の手を考えることができたのです。とてもおもしろいやりとりでした。くしゃみをする度に人格が変わる「わだたかしさん」どうもありがとうございました。

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2.履歴書を送る前にCEOになった人:ズリアゲさん

  ひとつ目のやりとりの紹介でずいぶん長くなってしまいましたが、もうひとつだけ紹介させてください。割と最近フォローしてくださった「ズリアゲさん (@calcio_itaro)」とのやりとりです。とても笑わせていただきました。ことの発端はこの記事でした。

taishiowawa.hatenablog.com

 既存の集団に所属するのではなく、自分のことをおもしろがってくれる人を周りに集められたらなと思います。これぞまさに自分にとっての「甘い集団」です。甘い集団の構成員募集中です。誰にでもできる簡単なお仕事です。履歴書お待ちしております。

 この記事の最後に、冗談でこんなことを書いていました。「ズリアゲさん」は、この「履歴書」というところに反応してくださり、こんなリプをくれました。

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  もうこの時点でおもしろいですよね。本気で履歴書を送ろうとしているかのような書き方がとても素敵です。思わず「なんでパンチか角刈りかの2択なんだよ!」とツッコみたくなるのですが、ここでツッコんでしまえばやりとりはもう終わってしまいます。せっかくだからもう少し続けてみようと思い、ボケにボケを重ねてみました。

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  ボケとしてはかなり雑で粗いですが、この粗さがいいかんじに映えています。言わば逆張りというやつですね。PDFの逆はナスカの地上(?)、パンチの逆はキック、角刈りの逆は丸伸ばし、5厘の逆は5mというわけです。このあとの流れは以下の通りです。

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  最後の井戸田さんの画像なんて、もはや「正解」ですよね。これ以上の返しはないのではないかというくらいです。このように、その時々の「正解」を出し続ければ、コミュニケーションは本当におもしろいものになります。「正解」をどうすれば出せるようになるかというと、やはり想像力と無駄を省く力なのではないでしょうか。その点において、本当にこのやりとりは無駄がなかったなあと思います。終わり方まで完璧でした。さすが我らがCEO、どうもありがとうございました。

 

 

 何度も言うようで申し訳ないのですが、過ぎ去ったやりとりをこうして掘り返して解説するだなんて本当はタブー中のタブーです。過ぎ去るからこその美しさもあるのです。その場限りの瞬間の芸当です。

 先ほど、気の利いた返しをするためには想像力と無駄を省く力が必要だなんて適当なことを言いましたが、筆者もまだまだ修行中なのでえらそうなことは何も言えません。むしろ一番必要なのは、恐れずにチャレンジし続ける精神なのかもしれません。百戦錬磨が大切です。だからこそ、この記事を読んで変に臆すのではなく、どんどんとバカみたいなリプライを送っていけばいいと思います。なんなら筆者のツイッターがサンドバッグになりますので、くだらないリプライどんどんお待ちしております。