おはようございます。大阪旅2日目も無事に終了しました。東京旅に引き続き、今回の大阪旅でもたくさんの方々とお会いすることができました。東京・大阪のふたつの旅を経てひとつ思ったことは「おもしろい人のまわりにはおもしろい人たちが集まっている」ということでした。だれかおもしろい人をみつけたら、まわりの人にまで目を向けてみるといいのかもしれません。きっとそこにもおもしろい人たちがいるはずです。こうして輪が広がり、点と点が繋がっていくのでしょう。いいですか。おもしろい人をみつけたらまわりの人にも目を向けてみるんですよ。見逃していませんか。おもしろい人。案外すぐ近くにいたりするかもしれませんよ。どうも、インクです。
「いい曲ですよね」という人は信用できない
「いい曲ですよね」という人は信用できない
— INK@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年1月26日
ちゃんと音楽を聴くようになったのは中学生のころでした。それまでは、新しくて人気のある曲に価値があるものだと思っていました。音楽に対する価値判断の基準が「新しい/古い」と「知っている/知らない」のふたつだけだったのです。
ここに新たな基準を加えてくれたのが BUMP OF CHICKEN でした。中学生のころ仲のよかった友だちに教えてもらったのです。しかし、当時はふたつの基準しかもち合わせていないわけですから「この曲、聴いたことある!」としか思えませんでした。そうです。午前2時に望遠鏡をかついで踏切に行くあの曲です。
そんなことを思いながら家のパソコンを開いてみると、なんとすでに1曲だけBUMPの曲が入っていました。どれどれと思いながら再生してみると「この曲も聴いたことある!」となったのです。ちなみにその曲は、一緒に見た空は忘れても一緒にいたことは忘れないあの曲でした。だから当分はこの2曲をずっと聴いていました。なぜなら知っている曲だったからです。
その後、学校に行って例の友だちに「2曲聞いたけどいい曲だね」と伝えたわけです。すると「その2曲もいいけどいちばん好きな曲は違う曲なんだよね」と言いながら、またべつの曲を教えてくれました。これが音楽の世界への入り口でした。
家に帰ってさっそく再生してみると、これまでに聴いたことのない曲でした。これまでなら「あ、この曲は知らない」と思って停止ボタンを押していたことでしょう。しかし、このときは最初から最後まで止めることなく聴きました。なぜだかわかりますか。そうです。その曲は「ただの知らない曲」ではなく「仲のよい友だちがいちばん好きな曲」だったからです。これまでにはなかった新しい基準がここで加わりました。
そこから先はあっという間でした。片っ端からCDを借りてはiPodに入れ、隙あらばひたすらに聴いていました。新譜が出たらすぐに買い、ライブにも何度か行きました。そうこうしているうちに、はじめは「仲のよい友だちがいちばん好きなバンド」だったBUMPが、いつのまにか「自分がいちばん好きなバンド」になっていたのです。
音楽のほかには、洋服が大好きです。よく洋服を買いに行きます。しかし、買ってばかりだとお財布が空っぽになってしまうので、売りに行くこともしばしばあります。もちろん売る服は、「飽きてしまったもの」や「買ったけれどもあまり着なかったもの」が中心になります。
そんな服の中でも、絶対に売れない服がいくつかあります。どんな服かというと、ほしいと思っていた期間が長かった服です。「コレクションを見てから販売されるのを今か今かと待ち続けてようやく買えた服」や「なんとかお金を貯めてようやく買えた服」などがそれにあたります。他にも、店員さんとよく話しながら買った服などはなかなか売りに出すことができません。
反対に、古着屋さんで買った服や、たまたま立ち寄ったお店で気に入って買った服などは、特に惜しむことなく売りに出すことができます。
要するに何が言いたいのかというと、背景に「物語」があるのかどうかで価値判断の基準は大きく変わるということです。「仲のよい友だちが好きな曲」という物語がのっかるだけで、曲の聴こえ方が変わります。「店員さんとよく話しながら買った服」という物語がのっかるだけで、大切な一着に変わります。
逆に考えると、何かを大切にしたければそこに「物語」を付随させればよいのです。極端な話、恋人どうしがデートを重ねるのもこういうことです。ふたりで「物語」を共有し、蓄積しているのです。
これらの「物語」はある程度、意図的に付随させることができます。もちろんデートである必要はありません。一本のペンを買うために、電車に乗って3つ向こうの駅まで行ってみてもいいかもしれません。今日の帰り道は、直帰せずにカフェでコーヒーを一杯飲んでみてもいいかもしれません。経験のどこかにほんの少しでも変化をつくることができれば、それが「物語」として人の記憶に残っていくのです。
音楽の入り口になった「仲のよい友だちが一番すきな曲」を紹介し忘れていましたね。寂しがりなライオンが吊り橋を渡る曲です。今日は憂鬱気味な月曜日ですが、久しぶりにこの曲を聴きながら出勤しようと思います。今日は懐かしい思い出の曲を聴きながら出勤する、ほんのちょっとだけ特別な日というわけです。