ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【水】わかりやすさに気をつけて

 

 おはようございます。まち中で道を尋ねられると「こんな人間に声をかける人がいるんだ」と単純に驚いてしまいます。気軽に話しかけたくなるようなチャーミングな見た目をしているわけではありませんし、実際にチャーミングでもありません。

 昨日はバス停で座っていると、うしろに並んだおばあちゃんに「いいサンダルだねえ」と声をかけられました。いいサンダルだねえ。これ、おばあちゃんだから許されるんですよね。おじさんだったとしたらもっと怖い感じになっていたと思います。

 「最近買ったんですよ」と返すと「そうか、アルバイトがんばったんか」と言われした。そうか、アルバイトがんばったんか。おばあちゃんからすれば、人類はみな若者で、若者はみな学生なのでしょう。

 ありがとう、おばあちゃん。アルバイトをがんばってサンダルを買いました。これからもがんばろうと思います。どうも、インクです。

 

わかりやすさに気をつけて

 わかりやすい説明。わかりやすい画像。わかりやすい映像。わかりやすい音楽。多くの人に受け入れてもらうためには「わかりやすさ」が大切です。

 考えなくても笑えたり、自分にもできそうだと思えたり。役に立つと思えたり、理解したつもりになることができたり。短いセンテンスが流れていくツイッターなんて、まさに「わかりやすさ」がウケるメディアだと言えるでしょう。

 バズっているツイートを見れば一目瞭然です。「何がおもしろいのか」がパッと見ただけでわかるものが、大衆に受け入れられていきます。

 ただし、わかりやすければそれでいいのかというと、そういうわけでもありません。人には「バカだと思われたくない」という願望がそなわっていますからね。大人になって「しまじろう」に夢中になる人も、毎晩「ノンタンシリーズ」を読み漁る人もいません。「わかりやすすぎる」というのもそれはそれでネックなのです。もちろんキャラクターとしての魅力や、マーケティングという点で学ぶことはたくさんあるんですけどね。

 そう考えると『君の名は。』が大ヒットした新海誠監督の作品や『カメラを止めるな!』で一躍有名になった上田慎一郎監督の作品の「わかりやすさ」は見事だなと思います。「わかりやすさ」の中に、知っている人にしか伝わらない小ネタが盛り込まれていたり、知的好奇心をくすぐられる要素があったりします。

 ドラマで言えば、堺雅人さん主演の『リーガル・ハイ』や松本潤さん主演の『999.9』なんかは、おなじような「わかりやすさ」がありましたね。このようなポイントを観て、わたしたちは「理解している自分」に酔いしれることができるというわけです。

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 ただ、忘れてはならないことがひとつあります。「わかりやすさ」を感じるということは、それが「自分程度にもわかるもの」だということです。要するに、自分が今もっている枠の中で理解して楽しむことはできるけど、枠の外へ連れ出してくれるものではないということです。

 べつに先ほど紹介した作品を否定しているわけではありませんよ。「わかりやすい」と一口に言いましたが、細かく分析していけば捉えきれていない作品世界が間違いなく広がっているはずです。作品に触れたときの第一印象で話をしていると思ってください。

 たしかに「わかりやすいもの」は、直後に充実感のようなものを与えてくれます。本が当てはまりやすいかもしれませんね。実用書やビジネス書なんてまさにです。「タメになった」というやつです。単純に嬉しいんですよね。「タメになった」と思えると。
 でも、先ほども述べたとおり、所詮は「自分なんかが理解できるレベルの内容だった」ということです。だめだ。「所詮」なんてことばをつかうと、どうしてもバカにしているように見えてしまいますね。なんども言いますが、べつにこれらの「わかりやすさ」を否定しているわけではありません。とても大切な要素のひとつですからね。

 今日の記事で言いたかったことは「わかりやすさ」だけで満足していたらダメだぞということです。進んで「わからない」ものと触れ合わなければなりません。「純文学を読め」だとか「哲学書を読め」と言われるのはこういうことなのでしょう。

 わからないものと対面したときに、人ははじめて本当の意味での思考をはじめます。べつに答えが出なくたっていいのです。わかるフリをしなくてもいいのです。わからないのなら「わかならい」でいいのです。

 そんな未知との遭遇が、自分の思考の枠を広げ、新しい観点を教えてくれます。わかりやすさに気をつけて。筆者もこんなにわかりやすい文章を書いていてはいけませんね。明日の記事は全編アラビア語にしようと思います。がんばって読んでくださいね。

taishiowawa.hatenablog.com

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【お知らせ:本日】

 毎週水曜日の定例会「こきけんよう」も第6回になりました。もうそんなに経ったのか。今週も聞き手を募集しています。「初参加になるけど大丈夫かな」とか「インクさんと絡んだことがないけれどいいのかな」とか、そんな考えはぜんぶ捨ててしまいましょう。いろいろわからなくてもとにかく来てみればいいのです。参加希望はツイッターのDMへ。あなたのご参加を心よりお待ちしております。

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