【水】「してはいけません」ではなく「しないようにするためにはどうしたらいい?」だよ
おはようございます。最近「カチカチ回すと靴ひもが締まるタイプのスニーカー」を履いている子どもをよく見かけます。これだけの説明で伝わった人はきっと実物を見たことがあるのでしょう。
通常のひも靴では蝶々むすびをしますが、カチカチタイプの靴ではその必要がありません。横についているダイヤルのようなものを回すだけでいいのです。
筆者も子どものころは、いちいちほどける靴ひもが嫌だったので、子どもたちにはよいのかもしれませんね。どうも、インクです。
「してはいけません」ではなく「しないようにするためにはどうしたらいい?」だよ
「してはいけません」ではなく「しないようにするためにはどうしたらいい?」だよ
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年6月20日
学校には「禁止」を意味するルールがたくさんあります。ろうかを走ってはいけません。ポケットに手を入れてはいけません。教室を移動するときに喋ってはいけません。授業のはじまりに遅れてはいけません。
もちろんそれぞれのルールにはそれぞれの理由があり、集団生活を送る上では必要なものなのでしょう。ただ、それでもやはりうっかりと破ってしまう子どもも出てきます。
そんなときに大人たちがどうするかというと「してはいけませんって言ったでしょ!」と怒るのです。「怪我をしてからじゃ遅いんだよ!」とか「あなたのために言っているんだよ!」とか言いながら、恐怖をもって反省させようとするわけです。
そんなようすを見ていると、あまりにも子どもたちが可哀想だなと思います。だって、そのルールは一方的に決められたものです。たとえその理由に同意していたとしても「なぜそのルールが必要なのか」や「どうすれば守ることができるのか」を自分で考える時間は与えられません。
一方的にルールを教えられて、理由を語られて、半ば強引に「わかりました」と頷かされて。いざ破ってしまったら「あのとき頷いていたでしょ!」と怒られてしまうのです。
こんな流れを防ぐためにも、うちのクラスでは事前準備を大切にしています。まずは、その日にクラスとしてがんばることを決めます。
「全員がチャイムよりも前に授業の準備をしておく」とか「ロッカーの荷物を整える」とか、ありきたりなものばかりです。できるだけ、達成できたかどうかがはっきりとわかるものがいいなと思っています。
ただ決めただけでは意味がありません。「意識してがんばろう!」と言ったところで、どうしようもないのです。1時間目が終わったころには、もう忘れてしまっているでしょう。
だから毎朝すこしだけ時間をとって、ミニ作戦会議を行っています。会議の項目は次のふたつ。ひとつ目は「失敗するとしたらいつどんなふうに失敗しそうか」ということ。ふたつ目は「そうならないためにはどうすればよいのか」ということです。
いたってシンプルなのですが、学校ではこの手間が省かれてしまいます。子どもたちが、その場その場でルールと照らし合わせて判断することができると思っているのでしょうか。これでは「ダメだとわかってはいるけど、特別がんばろうとは思わない」という状態がつづいてしまいます。
だから、ルールを破ってしまう子どもが生まれ、先生たちはいつまでも注意しつづけなければならなくなるのです。これをくり返していても、お互いにいいことがありません。そうならないためにも、朝のうちにイメージトレーニングをしておくというわけです。
このミニ作戦会議は、目標を達成するために進めるわけですが、本来のねらいは子どもたちに1日の見通しをもたせることにあります。「失敗するとしたらいつどんなふうに失敗しそうか」ということを考える中で、今日の時間割を確認し、1日の自分の動きを自ずと想像するのです。
また「このタイミングでこんな失敗をしそう」と具体的な予想をすることで、1日の途中に旗が立てられることになります。長い1日の全貌を捉えることが難しくても、旗によって細かく分けられた時間軸を捉えることはできるかもしれないというわけです。
これは大人だって同じです。想像力をはたらかせて、あらゆる可能性を想定することが大切です。 なんのイメージトレーニングもせずに本番をむかえてしまうと「あれが足りない」とか「これができない」とか、その場で慌てることになりますからね。
くり返しになりますが、子どもたちに対してこのような「ぶっつけ本番」を要求してしまっている場面があまりにも多いような気がしています。とくに、日常の中に「本番」があるような場合はなおさらです。
突然「大きな声であいさつをしなさい」と言われたって、戸惑って同然です。 良し悪しは別にして、本当に大きな声であいさつすることを目指すのなら、まずは「なぜ大きな声であいさつをするのか」を考えなければなりません。
その上で「どんな場面で大きな声であいさつをすることになりそうか」という見通しや「できないとしたらどんなときか」という見通しが大切になってきます。その上で「大きな声であいさつをするためにはどうすればよいか」を考えるのです。
ここまでやって、ようやく本番に向かうことができます。もし本番でうまくいかなくても、そのやり方ではダメだったという結果が得られたに過ぎません。要するに「次はちがうやり方を試そう」と、次回に繋げることができるというわけです。
大人の世界ではいたってありきたりなのかもしれませんが、この「想定 → 実行 → ふりかえり → 変更」のサイクルを、自分たちだけで回せるようになってくれればいいなと思っています。そのためにもまずは、大人が「想定」の時間を確保してあげられたらよいのかもしれません。
【お知らせ ①:本日】
今週から水曜日の定例会を実験的にはじめます。その名も「こきけんよう」。理想としては、リスナーの方に6つの中からトークテーマを選んでいただいて、スピーカーが30分ほどべらべらと喋ります。そして最後に、減ったぶんの新しいテーマを追加して来週へと繋げます。
単純に筆者自身が、1週間の折り返しである水曜日にわかりやすい目印があればいいなと思っただけです。継続するためには「気軽」であることと「楽しみ」として存在し続けることが大切です。なかなか難しそうですが、いろいろと試しながら進めていきたいと思います。
第1回は ともさん(@tomohiro33333)と よしのとおるさん(@tohruyoshino)とお話します。もうひとりくらいスピーカーがいてもいいなと思っているので、興味があればご連絡ください。聞き手としての参加希望も、以下のツイートのリプ欄およびDMにて募集しています。軽い気もちでお越しください。
【#こきけんよう】聞き手を募集します。
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年6月21日
毎週水曜20:15〜55。ZOOMにて。 pic.twitter.com/DKhTiBtQCl
【お知らせ ②:今週金曜日】
らいざさん(@rize_up_high)と らぱんさん(@lapinHSP)に、ゲストであるイスップさん(@bstogs)を加えて、みんなでおしゃべりをする会「らぱいんざWORLD」を開催します。現在、聞き手および、この4名への質問を募集しています。興味があってもなくてもぜひ遊びにきてください。あなたのご参加をこころよりお待ちしております。
日程:2020年6月26日(金)21時から
場所:ZOOM
◯ 聞き手募集 → 下のツイートにリプ or DM
(現在14名からお聞きしています)
【#らぱいんざWORLD】聞き手を募集します。6月26日(金)21時スタート。 pic.twitter.com/PoLpKXeExG
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年6月13日
◯ 質問募集 → 下のツイートにリプ
(現在5件いただいています)
【#らぱいんざWORLD】リプ欄にて3人+ゲスト(@bstogs1 )への質問を募集します pic.twitter.com/FskXOP1kRP
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年6月13日