おはようございます。１か月ほど前にネックレスを買いました。昔からずっとほしいと思っていたものでした。だから最近はずっと首からぶら下げています。しかし、そんなお気に入りのネックレスを外さなければならない場所があります。そうです。学校です。先生という職業とアクセサリーは非常に相性が悪いので、出勤するときには外さなければなりません。別につけたらダメだなんていうルールはないんですけどね。こんなところで変な摩擦を起こしても仕方がないので、ネックレスにはいつもお留守番を頼んでいます。しかし、そんなある日「タートルネックのＴシャツの下にならつけて行けるのではないか」ということに気がつきました。思い立ったが吉日。その日は、黒いタートルネックＴを着て出勤しました。当然首元は隠れているので、誰にも何も言われません。しかし、間違いなくそこにはネックレスがついています。授業中も、放課後も、そこにはネックレスが存在しているのです。しかし、そんな事実をこの世のだれも知りません。知っているのは自分だけ、たったのひとりです。なるほどなと思いました。どうも、インクです。
「勉強になりました」とか「ためになりました」という関係性はおもしろくない
「勉強になりました」とか「ためになりました」という関係性はおもしろくない
— INK@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年1月26日
先日とあるトークイベントに参加してきました。空席が見当たらないくらいに、たくさんの人たちが集まるイベントでした。もちろん参加する人たちは、話し手に興味をもってそこに集まっています。だからこそ、横のつながりもちらほらと見受けられました。そこに来ているという時点で、お互いに共通点をもち合わせているわけですからね。共通言語をもっている分、話しやすかったのでしょう。
しかし、それがいざ縦の関係になると捉え方がガラリと変わります。要は話し手との関係です。話し手がいざトークを始めると、みんながみんなうんうんと頷き、中にはメモをとっているような人もいるのです。そして終わったときには、みんなが口々にこんなことを言っていました。
「勉強になりました」
「ためになりました」
よく聞くことばだと思います。個人的には、このことばがあまり好きではありません。なぜなら、こう言ってしまった時点で、話し手と友だちになれなくなってしまうからです。友だちって対等な関係ですよね。立場は違えどそこに上下はありません。
しかし「勉強になりました」「ためになりました」と言ってしまった時点で、そこには上下関係が発生してしまいます。勝手にへりくだることで、友だちになれる可能性を自ら捨てているのです。勘違いしないでいただきたいのが、別に話し手のことを低く見ているわけではありません。「勉強になるようなことなんて言っていなかった」というわけでもありません。すごい方だからこそ、こうしてたくさんの人が集まっています。勉強になったりためになったりするのは事実なのだと思います。
ただ、それをことばにしてしまった時点で「あなたはわたしと違う世界の人間です」とスパっと世界を分断してしまっているような気がするのです。話し手も聞き手も同じ世界を生きているはずなのに。
逆に「勉強になりました」「ためになりました」と言われる側はどう思うのでしょう。はじめは「誰かの役に立てて嬉しい」と思うのかもしれませんが、それ以上は何もありません。関係性を相手が規定してしまっているので「ありがとうございます」しか言うことがなくなってしまうのです。
「勉強になりました」
「ありがとうございます」
「ためになりました」
「ありがとうございます」
果たしてこのコミュニケーションにどこまでの価値があるのでしょうか。分断された先のないコミュニケーションです。これ以上なにかが起こることはありません。
「話し手が上で、聞き手が下」だと聞き手が勝手に規定します。下の世界では、聞き手たちどうしで楽しそうに話しています。話し手だけが、ひとりぼっちです。「勉強になりました」「ためになりました」とは言ってくれるものの、それ以上は何も話してくれません。話し手側から聞き手に話しかけたとしても、結局はまた「勉強になりました」「ためになりました」と言われておしまいです。ある意味、仲間はずれにされているわけです。
みんな同じ人間
だからこそ、俗に言う「著名人」と呼ばれる人たちは、友だちをつくるのに苦労するのだろうなと思います。みんなが勝手に「ちがう世界の人」だと決めつけてくるわけですからね。同じ人間のはずなのに。
ありがたいことに、こんな弱小ブログでも時々「勉強になりました」「ためになりました」と言ってくださる方がいます。もちろん、とてもありがたいことです。ありがたいことは大前提です。その上でどうか、勉強にならないでください。ためにもならないでください。
