ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【金】子どもにとってテストなおしほど価値の感じられないものはない

 

 おはようございます。USBメモリって絶対に1回では挿さらないですよね。そして大抵の場合、2回目のチャレンジでも挿さりません。そして、もう一度ひっくり返して3回目のチャレンジを試みると、なんの無理もなくスッと挿さるのです。

 「なんだ、初めの向きであってたんじゃないか」と思うのと同時に、「なんだったんだ、あの1回目の抵抗感は」とも思います。 もしかすると挿し込み口の方も一緒に回転しているのかもしれません。どうも、インクです

 

子どもにとってテストなおしほど価値の感じられないものはない

 テストなおしってめんどくさいですよね。なおしたところで点数は変わりませんし、次の授業からは違う単元が始まります。なおしたものをあとから見返すことも、絶対と言ってもいいほどありません。とりあえず赤で答えを書いておけばいいか。これが子どもたちの本音です。先生も先生で、子どもが興味をもてないことを知っていますから、結構さらっと流してしまう方も多いのではないでしょうか。

 筆者自身も「テストなおし」はものすごく嫌いでした。赤鉛筆で答えを書き直して一体何に繋がるんだろうと思っていました。だからこそ、自分が先生としてテストを行う立場になって、とても悩みました。自分が価値を感じていなかったことを子どもたちにもやらせるわけにはいきません。だから今では次のような形で「テストなおし」を行っています。

 

1.テストの直後に模範解答

 まずは、子どもたちのテストに対する興味がもっともあるタイミングはいつなのだろうと考えました。それは間違いなくテストが終わった直後です。テストの直後は、とても答えが気になっています。さっき書いた答えは合っているのかな。とりあえず書いたのは書いたけどあれでよかったのかな。みなさんも友だちと一緒に「あの問題の答えどうなった?」と話し合った経験があるはずです。

 だからこそ、うちのクラスでは、テストが終わった瞬間に「模範解答」を見せます。そして、多くの人が間違えているであろう問題は、その場で解決してしまいます。「鉄は熱いうちに打て」というやつですね。

 つまり、テストが終わった段階で、自分が間違えた問題もわかっているし、おおよその点数も予想ができているというわけです。しかも、間違えたであろう問題もその場で解決してしまいます。テストが返ってきていないのに「テストなおし」のほとんどが、ここで終わるというわけです。

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2.原因と対策

 では次に、テストが返ってきたあとの話をします。先ほども述べたように、間違えた問題の解き方はテストの直後に学習しているので、ここで改めて解き直すことはありません。ここでやるのは「原因」と「対策」を考えることです。順番に詳細を見ていきましょう。

 まずは「原因」ですが、これはそのまの意味合いです。「どうしてその問題を間違えたのか」を考えます。「6×2の計算を14と書いてしまっていた」が原因になるかもしれませんし「記号で答えなさいと書かれているのにちゃんと読んでいなかった」が原因になるかもしれません。はたまた「よくわかっていないままテストの日を迎えてしまった」になるかもしれませんし「自分は大丈夫だと思い込んでいたせいで練習が少なかった」になるかもしれません。準備の仕方や間違え方は人によって違うので、もちろん「原因」も人によって違うものになります。

 そして、次に考えるのが「対策」です。ここがめちゃくちゃ大事です。どんな「対策」を立てるかによって、このテストが無駄になるかどうかが決まります。たとえ点数が何点であろうと、次に繋がればいいのです。よく子どもたちはこのような対策を立てがちです。

 

  1. 解き終わったら見直しをする
  2. ケアレスミスをしないように気をつける

 

 申し訳ないですが、これらの対策は無意味です。マジで意味がありません。見直しをやりきれなかったから間違えたのでしょう。気をつけきれなかったからケアレスミスをしたのでしょう。原因をそのまま対策風に言い換えるだけでは、結局同じことをくり返すだけです。

 ここで考えなければならないのは「どうすれば見直しの精度を上げられるのか」「どうすればケアレスミスを防ぐことができるのか」です。これを考えるのが「対策」です。「気をつける」なんて対策としては最低なのです。

 たとえば、「見直しが済んだ問題には丸をつけていく」という対策が考えられます。これだけでも、見逃している問題が視覚化されて十分な対策になるでしょう。問題を読まずに答えを書いてしまっていた人は、「問題文に線を引きながら読む」という対策が立てられるかもしれません。単位を間違えてしまった人は「単位が問題に出てきたらすべてに丸をつける」でもいいかもしれません。実際に手を動かすことで「気をつける」ことにも繋がります。要するに、次のテストから始められる具体的な行動を決めなければならないということです。「気をつける」や「がんばる」は、目標としてまったく機能しないのです。

 

 

 はじめのころは、子どもたちも戸惑っていましたが今ではこの「原因→対策」の流れを完璧につかいこなしています。大人にとっては当然なのですが、この流れは何にでも応用が効きますよね。うちのクラスでは、学級会もこの流れで進んでいきます。

 まだ行われていないできごとを考える場合は「原因」を追求することができませんので、「予想される失敗→対策」となります。まさに「リスクヘッジ」というやつです。お楽しみ会の計画や発表会の準備などは、この「予想→対策」で進んでいきます。

 これはふだんの授業でも活用することができます。たとえば、算数の筆算では「どんな間違え方をしそうか」という予想を話し合い、「それを予防するためにはどうすればよいか」という対策を立てます。間違えるパターンの思考の流れを知ることで、正解するパターンの思考の流れも身につけるというわけです。

 「原因→対策」「予想→対策」なんていたってシンプルでありきたりな型ですが、思考の流れを捉えるという意味では、とても効果的なやり方だと思っています。