【火】「相手が喜ぶことをする」って実はとても難しい
おはようございます。『君の名は。』や『天気の子』などの映画をプロデュースした川村元気さんが「ヒット」についてこんなことを言っていました。
自分の仕事は、駅の前に置いてあるくまのぬいぐるみを手に取って「誰のものですか?」と大きな声で聞くことです。そうすることで「あ!わたしもずっと気になっていたんですよ!」という人がたくさん集まってくるわけです。
このお話を聞いて、ものすごく納得させられました。目新しいものを探すというわけでもなく、技巧を凝らすというわけでもなく。誰もが知っているけれど、誰も触れてこなかったものを拾い上げるのです。
これもまた決して簡単なことではないでしょう。ほかの人が通り過ぎていくポイントで、立ち止まらなければならないわけですからね。どうも、インクです。
「相手が喜ぶことをする」って実はとても難しい
「相手が喜ぶことをする」って実はとても難しい
— インク@青年求職家 (@firesign_ink) 2020年11月1日
多くの人が子どもの頃から「相手が喜ぶことを進んでしましょう」と教えられて育ちます。「感謝の気持ちはちゃんとことばで伝えよう」とか「困っている人がいれば親切にしてあげよう」とか。
「そんなものは当たり前でしょう」と思った方は、きっとよい教育を受けてきたのでしょう。たしかに当たり前です。集団で平和を保つためには、お互いに助け合いながら歩んでいかなければなりません。
しかし、それを実現させることは意外と難しいものです。「こんなことをすれば喜ぶのだろうな」ということは、みんな何となくわかっています。ただ、それを実行に移すことが、とにかく難しいのです。
恥ずかしさが邪魔をしたり、プライドが邪魔をしたり。心配が邪魔をしたり、想像力が邪魔をしたり。障壁になりえるものが山のようにあるわけです。
仕事で言えば、初任者への声かけなんかがまさにこの話に当てはまります。「こんなことを言ってあげたらいいんだろうな」とか「こんなことを教えてあげたらいいんだろうな」ということは、みんな何となくわかっています。しかし、なかなかそれが言えません。
「先輩面していると思われたらどうしよう」とか「お前もできていないくせにと思われたらどうしよう」とか「どうせ他の人が教えてくれるだろう」とか。まわりの目が気になって、結局は何も言わぬまま、ただただ時が過ぎ去っていくのです。
要するに、多くの人は「自分がリスクを背負ってまで、相手が喜ぶことをしようとは思わない」ということです。すこし寂しいことを言っているような気もしますが、これは紛れもない事実だと思っています。
だからこそ、他者への善意について考えるときには、ここをスタート地点に設定しなければなりません。くり返しにはなりますが、多くの人は「自分がリスクを背負ってまで、相手が喜ぶことをしようとは思わない」のです。ここから話をはじめましょう。
この前提の上に成り立つ善意への道筋はふたつです。ひとつは、まわりの目なんて気にしないということ。そしてもうひとつは、善意にリスクを背負わなければならない環境を改善するということです。
多くの場面では、ひとつ目が推奨されています。「正しいと思ったのなら自信をもってやればいい」とか「自分で進む道は自分で決めろ」とか。誰もがいちどは聞いたことのあることばでしょう。
しかしこれは、先ほどの前提をただ裏返しているだけであって、正直に言えばあまり意味がありません。それができないからこそ困っているのです。
そうなれば、のこされた道はひとつです。善意にリスクを背負わなければならない環境を改善するしかありません。そもそもを言ってしまえば、善意にリスクが発生している時点で、随分とおかしな話なのです。どうしてリスクが生じるのでしょう。
その原因は「相手のためにしてあげる」という感覚にあると思っています。「相手のためにしてあげる」というテイをとるからこそ「どうせ自分のためなんでしょ」とか「相手のために動いている自分が好きなんでしょ」とかいうひねくれた見方が出てくるのです。
せっかくこの国には「情けは人の為ならず」ということばがあるのですから「自分のためです」と言い切って動いてしまえばよいのです。
すこし不思議な話ではありますが、自分のために「相手が喜ぶこと」をする人が増えれば、善意に変なリスクが生じることもなくなるような気がします。
【今後の予定】
①11月4日(水)こきけんよう Vol.17
②11月6日(金)らぱいんざWORLD Vol.8
【リスナー募集】
①11月4日(水)こきけんよう Vol.17
毎週水曜日の定例会です。次回は21時スタートです。どうでもいい話をしています。週の真ん中、折り返し地点として聴きに来てはみませんか。声を出せる人はぜひとも一緒にお話ししましょう。水曜日に予定があるというだけで、目安になっていいものですよ。参加希望はツイッターのDMまで、よろしくお願いいたします。
②11月6日(金)らぱいんざWORLD Vol.8
らいざさん、らぱんさんと共に行っている「らぱいんざWORLD」も気がつけば8回目になりました。今回は前回ゲストの mucchu さんのご紹介で くま吉さん が来てくださいます。いつものごとく、何の情報もありません。年齢も性別も所在地もわかりません。もしかしたら人間ですらない可能性だってあります。
そんな方をゲストに呼んで、いつもどおり何の役にも立たない話をします。説明をしようにもこれ以上に説明することがありません。ぜひ、遊びに来てね! リスナーとしての参加希望はツイッターのDMまで、よろしくお願いします。
【ホームに戻る】