ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【日】「もっとひどい環境があるのだからこのくらいは我慢しなさい」ってどうなのよ

 

 おはようございます。Prime Video に追加されていたので、今になって『アンナチュラル』を全話観ました。命に権力に性差別と、なかなかに欲張りなテーマ設定でしたが、日本のドラマらしい型に合わせて上手にまとめているなあと思いました。

 「日常の何気ないできごとが事件を解決するためのカギになる」に「登場人物の過去の闇」が絡んでくるというお決まりのパターンです。

 最後まで楽しく観られたのは「深追いしすぎない」というところにあったのかもしれません。細かく描こうとしすぎて、言わなくてもいいことまで言ってしまうと、作品はつまらなくなっていきますからね。 

 だからと言って、説明がすくなすぎると、それはそれでわかりづらくなってしまいます。そう考えると、連続ドラマの脚本を書く人って本当にすごいですよね。矛盾点をひとつずつ潰して、登場人物の関係性を整理して、第1話の伏線を最終話で回収して。

 きっと地図のようなものができあがっているのでしょう。言ってしまえば、このブログだってひとつの伏線のようなものです。回収はもうすこし先になりそうですけどね。どうも、インクです。

 

「もっとひどい環境があるのだからこのくらいは我慢しなさい」ってどうなのよ

 世界にはごはんを食べたくても食べられない子がいるんだから、好き嫌いせずに食べなさい。世界には勉強したくてもできない子がいるんだから、頑張って勉強しなさい。世界にはもっとひどい環境があるのだから、このくらいは我慢しなさい。

 きっと誰もがいちどは耳にしたことのあることばだと思います。下には下がいる。相対的に見てあなたは恵まれている。だから贅沢を言うな。だから文句を言うな。黙って目の前の現実を受け入れろ。なんなら「ありがたい」と思え。と、こう言うわけです。

 なかなかの暴論ですよね。世界を引き合いに出せば、何も言い返せないと思っているのです。仮におなじ理屈で「世界にはゲームをしたくてもできない子がいるんだから、好きなだけゲームをするよ!」と言ったとしたら、どうなるでしょうか。きっと「屁理屈を言うな!」とポカッとされておしまいでしょう。理屈はまったくおなじなんですけどね。

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 まあ、これらの暴論に「おかしくね?」と言っている人たちも、きっとたくさんいるのでしょう。探せばおなじように異論を唱えている文章が山のようにみつかるはずです。「そんなことを言われても想像できるわけがない」とか「個人の問題を無理やり世界の問題に結びつけている」とか。みんな思うところがあるのでしょう。

 このような暴論をデータで覆そうと試みたのが、かの有名は『ファクトフルネス』という本ですね。筆者のハンス・ロスリングさんは、データを示しながらレベル1の国、要は「食べたくても食べられない子」がいる国が、かつてに比べれば減少していること明らかにします。その上で、人々の世界に対する認識が、数十年前から止まっていることを指摘しているのです。

 この本を読んでからずっと思っているのですが、このブログに書いていることとよく似ている気がしませんか。とくに各章のタイトルになっている「〇〇本能」という視点。分断本能、ネガティブ本能、直線本能、恐怖本能、過大視本能、パターン化本能、宿命本能、単純化本能、犯人捜し本能、焦り本能。「これ書いたことあるぞ」と思いながら読んでいました。

 大ヒットした書籍を引き合いに出して「オレも前から考えていた!」だなんて、めちゃくちゃ恥ずかしいことを言っていますね。ハンスさんと比べれば、経験も示すことのできるエビデンスも圧倒的に少ないですからね。月とすっぽんとはまさにこのことです。ただ、考え方は似ているのかもしれないなと、そう思ったわけです。調子に乗りました。すみませんでした。

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 アイデアなんて、もっているだけではなんの価値もありませんからね。それをどのように形にするのかということが、とても大切なのでしょう。もしもあなたが「もっとひどい環境があるのだからこのくらいは我慢しなさい」という意見を否定するとしたら、どのような手順を踏みますか。感情に訴えかけますか。理屈っぽく攻めますか。はたまた、諦めて泣き寝入りしてしまいますか。

 「おかしいでしょ!」と言うだけでは何にも変わりやしません。仮に筋が通っていたとしても、否定された相手は気持ちよくありませんからね。納得させた上で、味方についてもらわなければならないのです。そう考えると、やっぱり「どう考えてもおかしいでしょ!理解できないあなたはおかしいよ!」と言っていてはダメなのです。先のことを想像して、そこに至るまでの道筋をデザインしなければなりません。

 世界には自分の意見を主張したくてもできない子がいるわけですからね!その子の分も一生懸命考えようと思います!今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。世界には最後まで読みたくても読めない子がいますからね。

 

【予告】

 ここ最近はZOOMをつかって、いろいろな方といっしょに企画をさせてもらっていますが、また新しい方とコラボをすることが決まりました。なかなかおもしおいことになりそうです。また近いうちにお知らせできるかと思いますのでお楽しみに。