ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【日】統一感は出すものではなく出るもの

 

 おはようございます。先日、ひさしぶりに自分の卒業論文を読み返しました。荒削りではありますが、我ながらなかなかにおもしろい文章でした。表紙と1ページ目のあいだには、大学時代の恩師からのメッセージがはさまっています。そこには、こんなことが書かれていました。

 豊かな語彙力があるのですから、あなたの言葉の力であなたの人生を深め、広げ、築きあげてください。言葉はあなたを表し、あなたをはげまし、他者との関わりを築き、ときにゆすぶり、あなたを護ります。

 大学生は人生の夏休みだなんてことを言われますが、そんな夏休みに「言葉」のおもしろさを知ることができました。おもしろいものに「おもしろい」と言い、つまらないものに「つまらない」と言ってくれる人たちに出会いました。こんな大人たちがいたからこそ、今でもこうして諦めずに書くことができています。世の中のおもしろい大人たちは、はやく気づけよな。どうも、インクです。

 

統一感は出すものではなく出るもの

 

チャンスを待つよじゃあいつに負ける

ウッ ハッ ウッ ハッ  

2度とは燃えない嵐が吹くぜ

ウッ ハッ ウッ ハッ

 

キラキラ輝く御殿

ひとめぼれしたあの女

黄金をつかむのさ ウッハッ

 

トウ、トウ、トウイツカーン

 ヘイ ブラザー ホー ブラザー

ナイス ブラザー ゴー ブラザー

 

トウ、トウ、トウイツカーン

 ヘイ ライダー ホー ライダー

ナイス ライダー ゴー ライダー

 

若者ならワッハハハー

チャンスだ今 ワッハハハー

一緒に手をかざせ

 

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 きっと、日本人なら一度は聴いたことのある楽曲だと思います。開始20秒で誰もが「お前が歌わんのかい!」とツッコみたくなるなる映像ですね。それにしても永遠に見ていられます。わりといい歳をした大人だと思うのですが、この人たちは一体どんな気もちで歌っているのでしょうか。

 知っていますか。この曲をつくったのはスイス人です。スイス人が、ドイツ語で、モンゴルの英雄「チンギス=ハン」のことを歌っています。それが日本で流行するという、実にワールドワイドな楽曲なのです。

 見てください。衣装の統一感のなさ。最高ですよね。ゴールドで統一されているのかと思いきや、一人だけめちゃくちゃシルバーです。振り付けもあるのかないのかよくわかりませんし、例の歌わない人の前にはマイクすらありません。

  きっとみなさんの頭の中には当分この曲がのこり続けることでしょう。忘れようと思えば思うほど、脳裏に焼き付いて離れなくなっていくはずです。ほら、今も遠くからあの音が近づいてきましたよ。

 

 ジン...ジン...ジンギスカーン

 

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トウイツカン(ジンギスカン)

 

 今日はこんな話をしたいわけではありません(ジン)。だれだ、変な曲を引っ張り出してきたのは(ジン)。今日話したいのは「統一感」についてです(ジンギスカーン)。

 ファッションやインテリアの世界では、よく言われますよね。統一感が大切です。統一感があるとオシャレに見えます。統一感を意識してコーディネートを組みましょう。ベーシックな色を選んで統一感を出しましょう。

 

 統一感、統一感、統一感。

 

 結論を先に言うと、つくりものの「統一感」は一瞬でバレます。あ、コイツ統一感出そうとしてんな。あ、コイツ統一感出せばオシャレになると思ってんな。あ、コイツ統一感出すために無理しちゃってんな。ぜんぶ一瞬でバレます。なぜなら、本来「統一感」は目指すべきものではないからです。

 「統一感」は出すものではありません。出るものです。確固たるひとりの人間がモノを選べば、自ずと「統一感」は出てきます。なぜなら、そこにはその人の「好き」という基準があるからです。好き嫌いを強く自覚している人ほど、選ぶモノにははっきりとした「統一感」が出てきます。

 逆に、「統一感を出す」ことを目的にしてしまうと、その人の「好き」が反映されづらくなってしまいます。要するに、選んだモノにその人の魂がのらないということです。だからこそ、まわりの人にはすぐにバレてしまいます。統一感を出すために選んだモノたちは、ただのハリボテでしかないのです。

 よく似た現象に、最近はやりの「シンプル」や「ミニマル」があります。「シンプル」や「ミニマル」も同様で、目指すべきものではありません。行き着く先です。なんの過程も経ていない「シンプル」はただの地味です。なんの過程も経ていない「ミニマリスト」はただの憧れです。大抵むりをしています。

 膨大な情報の取捨選択にこそ価値があり、その過程でその人の魂が吹き込まれていきます。その先に残ったものが「シンプル」や「ミニマル」なのです。だからこそ、そのような過程をしっかりと経た人たちの「シンプル」や「ミニマル」は、一見同じように見えてまったく違います。取捨選択の中で自己理解が洗練されているので、その人にしか出せない「シンプル」や「ミニマル」がそこにはあります。

 アップル製品の洗練されたデザインは、スティーブ・ジョブズだからこそつくることができました。「シンプル・ミニマル = 簡単」ではないのです。むしろ、そこに至るまでの過程にあった分岐点の数を想像すればわかる通り「シンプル」や「ミニマル」の方がとてつもなく難しい選択なのです。

 時々いますよね。無地の白Tなのになぜかとてもかっこいい人。まさにあれです。誰でも白Tを着ればかっこよくなれるわけではありません。くり返しになりますが、「シンプル」も「ミニマル」も、そして「統一感」も、目指すものではありません。自分を研究し尽くしたときに「行き着く先」のひとつなのです。

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 わかったわかった。わかりましたよ。これまでの話はちゃんと聞いていたんでしょうね。ずっとこのことばかり考えていたんじゃないでしょうね。今回だけですよ。またスクロールして上まで戻るのもめんどくさいですもんね。今日だけの特別大サービスです。これが最後ですからね。それではもう一度だけ。どうぞ。

 

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