ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【金】無駄をなくしてから無駄をつけたす

 

 おはようございます。右手のど真ん中にホクロがあります。これ以上ないくらいにど真ん中です。という話をかつての記事にも書いたのですが、つい最近、同じ右手に新しいホクロが誕生しました。ホクロの誕生に立ち会ったのは生まれて初めてです。つい数週間前までは、間違いなくそこにホクロなんてありませんでした。はじめはゴミがついているのかと思いました。しかし、こすってもとれません。「あ!これはホクロだ!」とそのときに思いました。今ではくっきりとそこに存在しています。もしかすると、これから起こる何かを示唆しているのでしょうか。小指の付け根の下、手の中心を横切る線よりもやや上です。詳しい方はぜひ教えてください。どうも、インクです。

 

無駄をなくしてから無駄をつけたす

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 どういう意味だかわかりますか。そうです。「了解」の「り」です。「了解」が「りょ」になり、ついには「り」になりました。

 このような省略語がとやかく言われ始めたのはいつからでしょうか。最近のJKはタピオカが入ったドリンクを飲むことを「タピる」と言うだとか、お風呂に入るときにオンラインのやりとりから離脱することを「フロリダ」と言うだとか。おもしろ半分ではあるのでしょうが、「正しい日本語がうんぬんかんぬん」と批判的に捉えられることが多かったように思います。

 そのくせして「リモコン」や「食パン」や「教科書」にはなんの文句も言いません。これらのことばだって、やっていることは同じです。ご存知のとおり「リモコン」は「リモートコントローラー」の略語です。「食パン」は「主食用パン」の略語ですし、「教科書」は「教科用図書」の略語です。そして今、さりげなく「省略語」の「省」を略しました。気にならなかったでしょ。

 

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 このような現象は「正しい日本語がうんぬんかんぬん」以前に、言語がもつひとつの大きな特徴です。言わなくても済むことは言わなくなっていくのです。たとえば、この記事をiPhoneで書いていることを今ここでわざわざ説明したりはしません。iPhoneの機種はXRで容量は64Gだなんてこともわざわざ説明したりはしません。理由は単純です。今日の記事に必要がない情報だからです。

 すごく当たり前なことのように思えるかもしれませんが、人はこのような情報の取捨選択をその場で瞬時に行っています。言わなくても済むことは言わないように言わないように、ことばをふるいにかけながらコミュニケーションを行っているのです。

 しかし、そのふるいの目の細かさは人によって違います。言わなくてもいいことを言ってしまう人もいれば、言わなければならないことを言わない人もいます。きっと、その両方がコミュニケーションにズレを生み、「話が合わない」という現象を生み出します。要するに、「ことば」は削り過ぎてもいけないし、残しすぎてもいけないというわけです。

 もっとも理想的な「ことば」のつかい方は、不要な余分を限りなく削り取った上で、効果的な余分を付け足すというつかい方だと思っています。これまでにも述べてきたように、第一段階である「不要なものを限りなく削り取る」という作業がすでに難しいんですけどね。たとえば、今日の記事の「はじめに」をもう一度読み返してみましょう。

 

 おはようございます。右手(のど真ん中にホクロがあります。(これ以上ないくらいにど真ん中です。)という話をかつての記事にも書いたのですが、つい最近、同じ右手に新しいホクロが誕生しました。(ホクロの誕生に立ち会ったのは生まれて初めてです。つい数週間前までは、間違いなくそこにホクロなんてありませんでした。はじめはゴミがついているのかと思いました。しかし、こすってもとれません。「あ!これはホクロだ!」とそのときに思いました。今ではくっきりとそこに存在しています。)もしかすると、これから起こる何かを示唆しているのでしょうか。小指の付け根の下、手の中心を横切る線よりもやや上です。詳しい方はぜひ教えてください。どうも、インクです。

 

 下線を引いた箇所がごっそりなかったとしても「新しいホクロができた」という内容は十分に伝わるはずです。それでもこれらの「余分な文章」を書いているのは、決して削り取り損ねたからではありません。付け足した方が効果的だと思ったから書いているのです。

 このような、付け足す「余分な文章」にこそ、書き手の個性が表れます。なくても伝わるはずなのに、何度も同じことが繰り返されていたり、そのときの心象がはさまれていたり。やり方は書き手によって様々です。ある程度はテクニックと呼んでもいいのかもしれません。

 無駄をなくして無駄をつけたす。こんなことを意識しながら毎日の記事を書いています。きっとこれからも形はずっとこのままで、付け足す余分の精度が研ぎ澄まされていくのだろうなと思っています。

 

 

 本編の途中にも書きましたが、今日の記事はすべてiPhoneで書きました。iPhoneだけで書いたのは、この記事が初めてです。フリック入力は使いこなしているつもりでしたが、やっぱりキーボードって便利なんだなと思ってしまいました。

 物理ボタンにはとても大きな魅力があるのだと思います。ジョブズがホームボタンを消したくなかった理由がよくわかります。知っていますか。物理ボタンを押すことを今時のJKは「ジョブる」と言うそうですよ。