【土】どこまで違和感を強く感じられるか
おはようございます。わたしは休日を無駄にしないようにするためにあらかじめ今日するべきことを先にここで宣言しておこうとわたしは思います。でも順番はばらばらだと思うのでぜんぜん気にしないようにしてください。まずはじめにわたしは髪を切りに電車に乗って行こうと思います。なぜなら長い間髪の毛を切っていなくて髪の毛が伸びていて長くなっていてうっとおしいなと思っていることが理由です。それから、わたしは電車に乗って映画館に映画を観に行こうと思います。なんの映画を見るかどうかはまだ決まっていないのであとで決めようと思うので、決めた映画がおもしろい映画だったらいいです。どうも、インクです。
どこまで違和感を強く感じられるか
どこまで違和感を強く感じられるか
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年3月8日
どうですか。違和感を強く感じられましたか。意図して文章に違和感を配置するのは案外難しいものですね。職業柄このような文章を読む機会がたくさんあるので、なるべく「あるある」を取り入れたつもりです。みつけられたでしょうか。

今日はこれらの「あるある」を解消しながら文章を整えていく「推敲」をみなさんと一緒に進めていけたらなと思います。この記事を読み終わったころには、あなたも上手な文章が書けるようになっていることでしょう。準備はいいですか。はじまりますよ。それでは、レッツ推敲! ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

それでは、細かい推敲をはじめる前に「読みづらい文章」のポイントをおさえておきたいと思います。本当はもっとたくさんあるのですが、今日はこれらのポイントに焦点を当てて推敲を進めていきます。

これらのポイントを踏まえた上で、もう一度はじめの文章を読んでみてください。見事に4つのポイントをおさえていると思います。まあ、それを意識しながら書いたので当然と言えば当然なんですけどね。ちゃんと読みづらかったでしょ。
このように、はじめは「3つ」と言っていたのに、蓋を開ければ「4つ」あるというのも読みづらいポイントのひとつになってしまうので、書くときや話すときには十分に気をつけてくださいね。それでは、具体的な推敲をはじめていくことにしましょう。


さっそく「わたしは」という一人称主語が登場しています。この主語は要りません。なぜなら「休日を無駄にしないように〜」と書き始めても、主語が「わたし」であることは十分に伝わるからです。わざわざ言わなくても伝わることは書かない。読みやすい文章を書く上でこの感覚はとても大切です。
続いて、重複が見られます。「あらかじめ」と「先に」はほとんど同じです。さらにその後に「わたしは」が出てきています。先ほど削除してしまいましたが、もし文頭の「わたしは」を残していたとすれば、ここでも重複が発生することになります。最後の「思います」も可能ならば消してしまいたいですね。
と、こんなことを考えながら体裁を整えていくと、はじめの一文はこのような文へと姿を変えます。

なんということでしょう。あんなにゴチャゴチャとして読みづらかった文章が、匠の手によってこんなにスッキリとした姿になりました。階段裏のスペースは収納に大変身。これで、子どもたちの野球道具やお父さんのゴルフ道具でいっぱいだった玄関も広々とつかうことができます。
この調子で進めていると日が暮れてしまうので、2文目以降はサクサクと推敲していきましょう。まだまだ先は長いですからね。


単刀直入に言えば、この文は要りません。きっと「実際の順番はどうなるかわからないよ」という保険のつもりで書いたのだと思いますが、これを読者に伝える必要はまったくと言ってもいいほどありません。
髪を切ってから映画を観ようが、映画を観てから髪を切ろうが、読者からすれば知ったこっちゃないのです。なんなら、別に結果的に「髪も切らなかったし映画も観なかった」でも構わないでしょう。読者が追うのは文章であり、実際の行動になんてそれほど興味はないのです。



この2文は、なかなかいい駄文ですよね。はじめにご紹介した4つのポイントを見事におさえています。順番に解消していきましょう。まずは重複から。
これはよくやってしまう誤りなのですが「まず」と「はじめに」は重複しています。「まずはじめに」とセットでつかってしまいがちですが、どちらかひとつで事足ります。つづいて「伸びていて」と「長くなっていて」も重複していますね。これもどちらかひとつでよいでしょう。
そして、これもまた子どもたちによく注意をする書き方なのですが「なぜなら」ではじまる文の末尾は「〜から」になります。このままだと、ある意味「なぜなら」と「理由です」が重複していることになってしまうのです。
一人称主語や「思います」など、その他諸々も含めて推敲すると、次のような形になります。

スッキリしましたね。もはやこれだけでいいんですよ。そこから話を広げるのならまだしも、今回の文章なら「電車に乗って行く」という要素も必要ありません。いらないものはどんどん削る。まさに言葉ダイエットです。


いよいよ最後です。「それから、わたしは電車に乗って映画館に映画を観に行こうと思います。」は省略しますね。この人はよほど電車がすきなのでしょう。
さあ、この文も相変わらず読みづらいですね。みなさんも「なんだこの文は」を鼻で笑っているかもしれませんが、意外とやりますよこの形。ツイッターでもよく見かけます。
要するに、「ので」が2回くり返されているんですよね。「映画」の重複も気になりますが、やはりこのくり返しがもっとも大きな原因だと思います。そのせいで一文も長くなってしまっています。
「決めた映画がおもしろい映画だったらいいです」とかも「知るかよ!」という話です。せめても、ここは「思います」をつかった方がいいのではないでしょうか。決めた映画がおもしろい映画だったらいいなと思います。うん、こちらの方がしっくりきますね。


内容はまったくおもしろくありませんが、形はきれいに整ったのではないでしょうか。これで、すべての文の「不要な無駄」を削り取ることができたので、あとは「効果的な無駄」を付け足す作業です。
もちろん今回のように「書いてから消していく」という進め方をしてもいいのですが、慣れてくるとこれが脳内でできるようになるわけです。本当に文章が上手な人は推敲された状態のことばがはじめから出てきますからね。もう頭が上がりません。
最後は、すべての推敲を終えた文章でお別れにしましょう。最後まで読んでくださってありがとうございました。これであたなの書く文章も読みやすくなると思うので、わたしはまたあなたの文章を読みたいと思うので、ぜひなにか文章を書いてみてほしいとわたしは思います。
おはようございます。休日を無駄にしないように、今日するべきことをここに宣言しておきます。まずは、この伸び切った髪を切りに行きます。そして、そのスッキリとした頭で映画を観に行こうと思います。きっといつも以上に内容が入ってくることでしょう。どの映画を観るのかはこれから決めます。あ、するべきことがひとつ増えてしまいましたね。まずは、どの映画を観るのかを決めるところから始めようと思います。みなさまもどうかよい休日をお過ごしください。どうも、インクでした。