ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【土】頑張ったから拍手するって甘すぎないか

 

 おはようございます。最近は週1で映画を観に行くようになりました。先週は『カメラを止めるな!』で一躍有名になった上田慎一郎監督の最新作『スペシャルアクターズ』を観てきました。『君の名は。』で名を上げた新海誠監督もそうですが、ヒット作の次に間違いない作品をもってくることができるのは本当のにすごいなと思いました。「あのヒットは偶然ではなかったんだ」という説得力がすさまじかったです。人を裏切るのが本当に上手なので、まだ観ていない方がいればぜひ観てほしいと思います。どうも、インクです。

 

頑張ったら拍手するって甘すぎないか

  誰もが一度は「大きな拍手をお贈りください!」ということばを聞いたことがあるのではないでしょうか。そう言われて、なんの感情もなく、ただ手を叩いたという経験のある人もたくさんいると思います。このような、その場をそれらしく収めるために行われる拍手があまりにも多いと思いませんか。

 本来「拍手」とは賞賛を表すための動作です。ひとりずつ賞賛のことばを聞いているとキリがないので、全員が同時に賞賛を表現するための手段だと言うこともできます。その手段は誰もが共通認識しているものなので、わざわざ煽らなくとも、本当にいいものには自然と拍手が発生するはずなのです。スタンディングオベーションなんてまさにそれですね。人は感動を表現しようと思ったら、自ずと拍手をするはずなのです。

 それにも関わらず拍手がおきないのなら、それは表現者側に問題があると考えるしかありません。たしかに、聞き手にもマナーはありますし、一体感をもって全員が前のめりになれば、場の雰囲気も盛り上がるかもしれません。しかし、それはあくまでも聞き手の意思で決めることであり、表現者が「前のめりになれ!」「拍手をしろ!」と言うのはあまりにもナンセンスです。むしろ、表現によって聞き手を前のめりにさせる力表現者には必要なのです。

  芸人の世界なんてまさにこの「拍手」との戦いだと思います。ネタを披露して拍手がもらえなければ、反省・改善するしかありません。もちろんショックを受けるでしょうが、そんなシビアな判定があるからこそ前に進んでいけるのだと思います。

 その点、学校で行われる「拍手」はあまりにも甘い気がします。人前に立って何かをすれば、そのクオリティに関わらず拍手をもらうことができます。たしかに、子どもの頃に人前でどんズベりして拍手ひとつもらえなかったら、かなりのトラウマになりそうですが、何でもかんでも拍手してもらえる環境では表現者が育たないような気がしています。

 せっかく一生懸命表現したのに、その表現がよかったのか悪かったのかが分からないのです。実はスベっていたのに、みんなが拍手をするせいで、その事実に気がつかずに大人になってしまう人もたくさんいます。はたしてそれが本当に幸せなのでしょうか。

 もちろんこれらの主犯格は先生です。先生までもが低クオリティなものに「よくがんばったね」と言うせいで、子どもたちの判断基準はブレブレになります。何がよくて、何が悪いのか、子どもたちには分からなくなってしまいます。その基準がなければ、当然次に繋げることができません。むしろ、前に拍手をもらえたからといって同じことを繰り返そうとするかもしれません。そして、その繰り返しが癖になり、社会に出たときにはじめて、そんなやり方が通用しないことに気がつくのです。

 このように、学校が苦手としているのはPDCAの「C」の力を子どもたちにつけさせることです。PDCAサイクルの中では最も重要だと思われる「C」です。改善して次につなげるという訓練があまりにも疎かな気がします。何でもかんでも拍手される甘い評価が成されたあと、ろくに振り返ることもなく終わっていきます。

 「いや、うちでは振り返りの時間をつくっていますよ」という先生もいらっしゃるかもしれませんが、それは本当に子どもたちの次に繋がっていますか。そもそも正当な評価がされていない状態での振り返りに価値はあるのでしょうか。子どもたちにとって、振り返り活動はもっとも身が入らないもののひとつです。なぜなら、子どもたちからすればもうすでに終わったことだからです。テストが一番分かりやすいですよね。いくらテストの振り返りをしたところで、点数は変わりません。そんな振り返りに子どもたちは価値を見出せないのです。さらに言えば、子どもたちの中には次への見通しも立っていません。次に何をするかも分からないのに、振り返りをして次に繋げるなんてことができるはずがないのです。

 つまり、次に繋げる力をつけさせるためには「正当な評価」「次への見通し」「振り返りの時間」が、この順番で必要になります。はじめの話に戻りますが、なんでもかんでも拍手をしていたら何にも始まらないのです。物事の良し悪しを見極め、「全然できていない」「考えが浅い」「はい、やり直し」とスパッと切り捨てる大人が必要なのかもしれません。そして、それに立ち向かっていく強さを子どもたちには身につけさせないといけないのではないでしょうか。

 

 

 最近風邪をひいたせいで体調が良くありません。体調管理も社会人の仕事だなんてよく言いますが、そんな無茶なと思います。誰だって風邪をひくときはひくでしょうよ。表があれば裏があるのと同じです。そんな風邪をひきながらも、一生懸命文章を書いた私にどうか大きな拍手をお送りください。皆様もどうかお気をつけて。