おはようございます。突然ですが、ミッフィーの顔にある「 × 」が、鼻と口だということはご存知ですか。「 ∨ 」が鼻で、「 ∧ 」が口にあたります。
また、日本語版の絵本では「うさこちゃん」と呼ばれていることもご存知でしょうか。さらに言えば、そのうさこちゃんには万引き歴があるということもご存知でしょうか。あんなにかわいい見た目をしながら、実はなかなかのやり手なのです。
そのお話は「うさこちゃんときゃらめる」という絵本に描かれています。もちろん万引きをしたのは「きゃらめる」です。思わずきゃらめるをポケットに入れてしまった日の晩にうさこちゃんは罪悪感に苛まれ、翌日にお母さんと謝りに行くというお話です。
シンプルな絵と短いテキストで道徳性を説いたきわめてよくできた物語なのですが、謝りに行く場面で思わず笑わされてしまいます。まだ読んだことがなければ、ぜひ読んでみてください。どうも、インクです。
決して特殊な家庭の物語ではない
決して特殊な家庭の物語ではない #星の子 pic.twitter.com/bwlxPpUzTJ
— インク@青年求職家 (@firesign_ink) 2020年10月10日
もともと未熟児として生まれ病弱だったちひろのために、両親はあらゆる療法を試した。しかし何をやっても効果はなく、そんな時に「金星のめぐみ」という“水”の存在を知る。特別な生命力を宿したというその水はちひろの症状をみるみる改善させるが、それを機に両親は“あやしい宗教”に心酔し、自分たちもその水を浸したタオルを頭に載せて暮らすようになる。嫌気がさした姉のまーちゃんは家を出たきり戻って来ない。それでもちひろは両親が大好きだし、家はどんどん貧しくなるが幸せに暮らしている。中学3年生になったちひろは新任のイケメン先生に恋をした。高校受験を控えた中学最後の一年。少しずつ揺らぎ始める自分とちひろは闘い始める。家族とわたし。わたしと未来。広大な星の下で少女の信じる力が試される。 (映画『星の子』パンフレットより)
昨日、大森立嗣監督の『星の子』という映画を観てきました。原作は今村夏子さんの小説です。
映画のレビューのような記事はあまり書かないようにしてきたのですが、この作品はあまりにも自分自身が考えてきたことと重なるところが多かったので、すこしだけ書いてみようと思います。
今日の記事のタイトルにもあるように、観終わったときにまず思ったのは「決して特殊な家庭の物語ではない」ということでした。はじめに引用したあらすじを読んでいただければわかるとおり“あやしい宗教”に心酔している家族のくらしが中心に描かれています。
まわりの登場人物たちも、そんな家族のことを不審な目で見つめます。たしかに側から見れば「特殊」に見えるのかもしれません。しかし、そんな家族が当人たちからすれば「ふつう」なのです。
たまたま、この家族が「宗教を信じていた」というだけで、どこの家族も大抵「特殊」なのではないでしょうか。自分の家族だって、それが「ふつう」だと思い込んでいるだけで、結局は「特殊」のうちのひとつなのではないでしょうか。
芦田愛菜さんが演じる「ちひろ」のまわりの友人たちは、比較的その「特殊」に理解を示してくれる人物として描かれています。一方で、岡田将生さんが演じる「南先生」は、その「特殊」に対して、さらりと「完全に狂っている」と言ってのけます。
あまり話すぎるとネタバレになってしまうので、このあたりで止めておきますが、そんな「特殊」と「家族への愛」との間で、ちひろは揺れ動くことになるのです。ひとことで言うなら「愛する人が信じているものを信じることができるのか」という話です。
はるか昔に「信じる」ということについて、こんな記事を書きました。何を信じるか、それだけですよ。“水”に特別な力が宿っていると信じるか、水道水とおなじだと信じるか。ただそれだけの違いです。
そこには優劣なんてないはずなのに「あなたは騙されているんだ」と一生懸命訴えかけようとするわけです。あなたのためだと言わんばかりに。
もし身のまわりの人が、ちひろの家族のように“あやしい宗教”に引き寄せられていったら、あなたはなんと声をかけますか。もしくは、声をかけないでしょうか。また、そんな家族のもとに生まれた子どもを可哀想だと思うでしょうか。心配になるでしょうか。
「家族」についても、このような記事を書いたことがありました。家族の数だけ家族の形があるはずなのに「家族は大切なもの」だと思っていないと気が済まない人がたくさんいるという内容です。
要するに、無意識のうちに信じてしまうのではなく「信じる道を自分で選べる」ということが大切になってきます。ただし、そんな「選ぶ」という行為もまた、もうひとまわり大きな「信じる」の中で行われているんですけどね。何かを信じているからこそ、はじめて「選ぶ」ことができるのです。
そして、その「選ぶ」根拠になっている「信じる」自体が、無意識のうちに信じてしまっているものである可能性も充分にあるわけです。
黒木華さんが演じる宗教団体員の「昇子さん」のセリフに次のようなものがあります。
「あなたがここにいるのは自分の意思とは関係ないのよ」
「選ぶ」と「信じる」の関係性について考えたあとに、改めてこのセリフを思い出すと、また違った意味合いが見えてきますね。もしかすると、選んでいるつもりになっているだけで、本当は自分の意思なんて関係ないのかもしれません。
改めて「信じる」って何なのでしょう。いま信じていると思っているものは、本当に自分の意思で選んだものなのでしょうか。そもそも、信じるものを選ぶことなんてできるのでしょうか。
と、こんなことを考えさせられるとてもよい映画でした。人物を映し出すカメラワークも、場面転換時の物撮りも、とても印象にのこっています。上映されたばかりですので、まだ観ていない方がいらっしゃいましたら、ぜひ映画館に足を運んでみてください。
【今後の予定】
①10月14日(水)こきけんよう Vol.14
②10月16日(金)らぱいんざWORLD Vol.7
③10月26日(土)Coming soon ...
【リスナー募集】
①10月14日(水)こきけんよう Vol.14
毎週水曜日の定例会です。次回は20時30分スタートです。どうでもいい話をしています。週の真ん中、折り返し地点として聴きに来てはみませんか。声を出せる人はぜひとも一緒にお話ししましょう。水曜日に予定があるというだけで、目安になっていいものですよ。参加希望はツイッターのDMまで、よろしくお願いいたします。
②10月16日(金)らぱいんざWORLD Vol.7
らぱいんざWORLDも気がつけば第7回になりました。「テレホンショッキング形式」と「逆オファー形式」でゲストに来ていただいているのですが、今回は後者になります。どこで知っていただいたのかはわかりませんが、めがね旦那さん(@megane654321)が来てくださることになりました。
珍しくこの話が決まる前から相互フォローだった方なのですが、いつもどおりほとんど何も知りません。絡んだことがあったりなかったり。めがねがカブっているということくらいでしょうか。まあ、これまたいつもどおりおもしろくなるのでしょう。
こちらにおいてもツイッターのDMにて、リスナーを募集します。華の金曜日に耳だけ傾けてみませんか。あなたのご参加を心よりお待ちしております。
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