ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【金】「これからなんだってできる」と言われたって当人は今を生きているわけで

 

 おはようございます。ここ数日でツイッターのフォロワーが急増しました。はじめて読みに来てくださる方も多いかと思いますので、誤解を与えてしまわないように先に言っておきます。このブログは嘘だらけです。だいたいは嘘だと言っても過言ではありません。

 ときには極論を提示してみたり、ときには無理やり二項対立にしてみたり。凹凸がはっきりと浮かび上がり、ひとつの考えが生まれるきっかけになれば何だっていいと思っています。すべてはパフォーマンスです。真に受けてはいけません。どうも、阿部寛です。

 

「これからなんだってできる」と言われたって当人は今を生きているわけで

  子どもは可能性のかたまりです。これから何者にだってなることができます。子どもは光り輝く宝です。未来にはあらゆる選択肢が広がっています。これからの世界をつくるのは子どもたちです。だからこそ、大人は子どもたちを大切にしなければなりません。

 しかし、子どもからすればそんなこと知ったこっちゃありません。勝手に期待されて、勝手に価値づけられて、勝手にその人の過去と重ねられて。たまったもんじゃありません。何ならむしろ迷惑なくらいです。

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 それでもやっぱり大人は子どもに期待してしまいます。自分はもう「子ども」という期間を終えているから。もう二度と「子ども」には戻れないと知っているから。だからこそ、うらやましさ半分、先輩ヅラ半分で、好き勝手に言い始めてしまうのです。

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 典型的な例が「親戚のおじさん」です。「家族によってちがうだろ」とか「自分には親戚のおじさんなんていない」とか、そんな話をしているわけではありません。イデア界に住む親戚のおじさん、イデアおじさんの話です。イデアおじさんは、姪っ子や甥っ子にむかって必ずこんな質問をします。

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 子どもが嫌がるとわかっていながら、必ずこう聞いてきます。厄介なのはここからです。「いない」と答えれば、必ず「ええ!嘘でしょ!おじさんが同じ年齢だったころはいたけどなあ!」と言われます。逆に「いる」と答えれば、必ず「おお!そうか!学生のうちに告白しておかないと後悔するからがんばれよ!」と言われます。

 一見、応援してくれているいい人のように見えますが、イデアおじさんはそう容易くはありません。一度「いる」と答えたが最後。会うたびに「どうなった?告白したか?」と聞かれつづけることになるのです。

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 イデアおじさんは「告白が失敗したってべつにかまわない」と思っています。好きな子に告白することができずに後悔したことがあるのでしょう。当たって砕けろの精神で告白しておけばよかったと思ったことがあるのでしょう。もしくは「失恋もいい経験だ」程度に思っているのかもしれません。

 しかし、当人からすれば、告白なんて人生の一大イベントです。成功しようが失敗しようがいい経験になることは何となくわかっていますが、それでもやっぱり簡単にはできません。なにせ生活の大半を占める学校生活がガラリとひっくり返るわけですからね。

 フラレてしまったとしても、明日も明後日もその子と顔を合わせなければならないわけです。覚悟を決めて、何百回もシミュレーションをして、ようやく実現させることができるのが「告白」なのです。

 それに比べて、イデアおじさんのことばはあまりにも軽いです。ビールを片手に持ちながら「絶対に後悔するから!告白しておけ!告白しておけ!」とそそのかします。両者のあいだに大きな落差があることはもうおわかりいただけたでしょう。

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 ずいぶんと長くなってしまいましたが、もちろん「告白」はひとつの例です。まさにこの落差こそが、大人と子どもの間に存在する大きな大きな溝です。大人から見れば、子どもの失敗なんて大したものではないように見えてしまうのです。

 昨日の記事にも書いたとおりです。基本的に大人は子どもをバカにしています。「子どもは可能性のかたまりだ」とか「子どもは宝だ」とか言いながら、先輩ヅラをして見下しているのです。

  子どもにとっては、出席確認の「はい」という返事が裏返ってしまっただけでも大きな大きなできごとです。音読で漢字を読み間違えてしまったり、プールのテストで25m を泳ぎ切れなかったり。大人からすればなんてことないように見える失敗でも、子どもからすれば大きな大きなできごとなのです。大人の世界にだってあるはずです。

 

 だれも気にしないようなこと。

 それでも自分には大ごと。

 

  先ほどの溝があるせいで、この他者と自分との認識の差が、子どもと大人だとより顕著になってしまうのです。子どもだって今を精いっぱいに生きています。失敗をおそれ、失敗に傷つきながら、精いっぱい前に進んでいます。そこに大人と子どもの違いなんてものはありません。

 最後にもう一度だけ。子どもたちの代わりに、このブログを読んでくださっている大人のみなさんへ。

 

 勝手に未来を託してんじゃねえよ。

 

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taishiowawa.hatenablog.com


【お知らせ】

 昨日の記事でもお知らせしましたが、明日20時ごろから第4回「教育を存分に語れるバー」をZOOMにて開催します。何だかよくわからずに参加するのも不安だと思いますので、もうすこしだけくわしくお話ししておきます。

 コンセプトは「まじめな話をゆっくりしよう」です。その場でいろいろと考えながら話ができたらと思います。べつにネタ帳をもって参加していただく必要はありません。また、一応「バー」という設定ですので、司会も書記もファシリテーターもタイムキーパーもダースベイダーもターミネーターもなく、しゃべりたければしゃべる、しやべりたくなければしゃべらない、という形で進めていけたらと思います。

 第3回「教育を存分に語れるバー」では「シチューとごはんを一緒に食べるか否か」という話で大いに盛り上がりました。「ケイドロかドロケイか」という話もなかなかおもしろかったですね。

 参加を希望される方はツイッターにひとことください。迷っているくらいなら参加しましょう。乗るしかない。このビッグウェーブに。

 

第4回 教育を存分に語れるバー

テーマ:宿題の在り方

日時:2020年5月2日(土)20時ごろから

場所: ZOOM

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