おはようございます。3月。世は卒業シーズンです。先週から今週にかけて式のある学校が多いのではないでしょうか。今年はコロナウイルスの影響もあり、短縮バージョンで式を行う学校がほとんどだったはずです。そもそも式そのものがなくなったという学校もあるのかもしれません。大人たちは「残念だったね」と言うかもしれませんが、内心ホっとしている人だっているはずです。この休校が嬉しくて嬉しくて仕方がなかった人もいるはずです。今日はそんな人たちへ向けての記事です。卒業おめでとう。どうも、インクです。
卒業を待ち望んでいた子どもだっている
卒業を待ち望んでいた子どもだっている
— インク@小学校の先生 (@firesign_ink) 2020年3月23日
よく耐えた。よく頑張った。3年か、6年か。長かったあの毎日が、今日でようやく終わります。大人たちは「おめでとう」と言いながら喜んでくれるかもしれません。まわりのみんなは涙を流しながら別れを惜しんでいるかもしれません。
そんなことはどうだっていいのです。そこにあるのは「今日で終わる」という事実。ただそれだけです。「はやく終わらないかな」と思いながら、積み重ねてきた1日1日が今日で終わりを迎えます。明日からはそんなことを思いながら過ごす必要もありません。
世の卒業ソングはこんな歌ばかりです。友との別れが寂しい。学校生活にはたくさんの思い出があった。今日からは新しい世界への旅立ちだ。こんな歌があるせいで、歌詞とはちがう自分を責めてしまうことがあるかもしれません。
こんな歌なんて気にする必要はありません。いいですか。所詮、歌詞を書いているのは大人です。大人は卒業式で、子どもたちを感動させたいのです。なぜなら「自分たちがやってきたことが間違っていなかった」と思いたいからです。
学校の先生は、卒業式を見ながら「立派になったなあ」と思いたいのです。親は、卒業式を見ながら「育ててきてよかったなあ」と思いたいのです。それは大人たちのエゴです。だからこそ、感動の押し売りが始まります。
別にそんな期待に応える必要はありません。あと1日。あと1日だけがんばって耐えればもう終わるのです。明日からは、同級生がたくさん歩いているあの道を通る必要もありません。休み時間をどうすごすのかを一生懸命考える必要もありません。おひるごはんもゆっくり家で食べられます。あの人にもあの人にも会わずに済みます。大人たちが心配してくることもありません。もう行かなくてもいいのです。
本当によくがんばった。本当によくがんばったよ。新天地ではきっといいことがある。そんな無責任なことは口が滑っても言えないけれど、少なくとも新しく出会う人たちは過去のあなたを知りません。 別に無理して取り繕う必要もないし、力む必要もありませんが、1から新しくスタートするいいチャンスです。
ごめんなさい。今はそんなこともどうだっていいですね。とにかく終わる。ただそれだけです。今日お別れする人たちとは、この先ずっと会いません。こちらが繫ぎ止める努力をしない限り、人は勝手に離れていきます。「だからこそ今日という最後の日を大切にしてね」だなんて言うつもりはまったくありません。「もう会わずに済むよ」ということを伝えたかっただけです。
本当です。もしかすると街でバッタリなんていうこともあるかもしれませんが、そんなものはほんの一瞬です。これまで何年も耐えてきたではありませんか。それに比べたら屁のようなものです。どうしても会いたくなければ、あなた自身が離れればいいのです。
これからは自由です。どこへだって行けます。学校という場所が、いかに狭くて、暗くて、陰湿な場所だったのかを知ることになるはずです。そんな場所で何年も耐え凌げたということは、もうこの先にこわいものなんてありません。
改めて、卒業おめでとう。あなたのことは何も知らないけれど、こうして最後の日を迎えることができてよかったなと思います。本当によく頑張った。明日からはゆっくり休んで、新しい生活に備えてください。
春からも同じ場所で耐え続けなければならないあなたへ。こればかりは本当に申し訳ないけれど、詳しい状況を知らない限り迂闊なことは言えません。無責任に「逃げればいい」とか「がんばれ」とか、そんなことは口が滑っても言えません。ただ、ひとつだけ間違いがないのは「必ず終わりがくる」ということです。それがいつになるのかは人によってちがうかもしれないけれど、それは絶対に終わります。終わらないものなんてありません。
終わりまでの道のりが遠くて耐え切れないのなら、いつでも連絡してください。できることはほとんどないのかもしれないけれど、人と話すことは大切です。もちろん他に頼れる人がいるのならそれでかまいませんし、ここまでの文章を読んで「この人は違うな」と思ったのならそれはそれでかまいません。
嫌なやつの文句でも、ブログを読んだ感想でも、なんだってかまいません。「忙しそうだな」とか「迷惑かな」とか、そんな遠慮はいりません。コメント欄でもツイッターのDMでもなんだってウェルカムです。必要があれば呼んでください。これからもずっとここにいます。