ツイートの3行目

小学校の先生です。ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。

【金】「布団が離してくれない」みたいなツイートはやめておけ!

 

 おはようございます。腕まくりをもとに戻ししたときに、インナーだけが戻ってこない現象に名前をつけたい。なぜか片方の靴下だけが下がってくる現象にも名前をつけたい。あと、すれ違いぎわに同じ方向に避けようとして「あっ」となる現象にも名前をつけたい。さらに、スマホを顔に落としてしまう現象にも名前をつけたい。市街地の人口が減少し、郊外の人口が増加する現象にも名前をつけたい。風が山を越えて暖かく乾いた気流となり、その付近の気温が上がる現象にも名前をつけたい。最後に、本屋に入るとトイレに行きたくなる現象にも名前をつけたい。ああつけたい。ああつけたい。これらの現象に名前をつけたい。どうも、インクです。

 

「布団が離してくれない」みたいなツイートはやめておけ!

  この現象に名前をつけたい。一時期、SNSを中心に流行した言い回しです。やっていることは「あるある」と同じです。より多くの人から共感を得た「この現象に名前をつけたい」が当時はバズっていました。きっとはじめは斬新な言い回しだったのでしょう。たくさんの人におもしろがられた結果、これほどまでに広まりました。汎用性が高かったことも広まった要因だと言えるのではないでしょうか。

 しかし、今となってはほとんど死語です。インターネットのスピードはとてもはやいですからね。ついこのあいだ生まれた言い回しが、明日には死語になっているだなんてこともよくあることです。

 インターネットのことばは、「アベック」や「写メ」などの社会現象に大きく関係する死語とは異なる特徴をもっています。なぜなら、インターネットに接続されたタイミングや頻度は、人によって大きく異なるからです。インターネットの世界に昔からいる人にとって「この現象に名前をつけたい」はまちがいなく死語です。今見かけたら「まだ言っているのか」と思うどころか、すこし引いてしまうかもしれません。

 一方で、インターネット歴が浅い人からすれば、当時の人たちと同じように、はじめて見る斬新な言い回しに見えるのでしょう。だからこそ、死語だなんてことをつゆ知らず、自分もつかってみようとしてしまうのです。この個人によるズレこそが、ネットスラングのおもしろいところです。

 

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 他にもこのような言い回しは山のようにあります。たとえば「ちょっと待って、うれしみが溢れすぎててしんどい」とか、「今日もうちの愛犬がかわいい。現場からは以上です」とか。「2億年ぶりに焼肉を食べた気がする」とか、「うちの弟がわたしよりも先に結婚しようとしている話でもする?」とか。「ふつうのハンバーガーが一番おいしいという結論に達した」とか、「この人これに親でも殺されたんか?」とか。

 なんだか見ているだけでゾワッとしますよね。これぞネットスラングです。とっくの昔に流行は過ぎ去ったはずなのに、いまだにときどき見かけます。つかっている人が堂々とつかっているものだから、見ているこちらが恥ずかしくなってしまいます。懐かしいものを掘り返すというネタとして、あえてつかっているのならまだいいんですけどね。おもしろいネタとしていまだにつかっている人はちょっと見ていられません。

 そんな数ある言い回しの中でも、一定数の人たちに支えられ続けている不動の四番が存在します。まさにこのシーズンによく目にする言い回しです。

 

 お布団が離してくれない

 

 これです。見たことがありますよね。なんならつかったこともありますよね。お布団が離してくれない。さらにゾワゾワ感を増したければ「オフトゥン」にしてもいいかもしれません。オフトゥンが離してくれない。おお、ゾワっとしますね。

 ここでつかわれているのはいわゆる擬人法というやつです。自分が布団から離れたくないことを「布団側が離してくれない」と言い換えています。表現自体としては別になにも悪いものではありません。ただの擬人法といえばただの擬人法です。問題はその中身ではありません。「あまりにもこすられすぎた」という事実です。たくさんの人につかわれすぎて、一番の武器だった「斬新さ」が失われてしまっているのです。

 

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 このように、「斬新さ」に支えられたことばというものがこの世にはたくさんあります。たまたまネットスラングにそれらが多いというだけで、日常的につかっていることばの中にもたくさんあると思います。

 そのようなことばには、ある程度の賞味期限が存在します。たくさんの人にこすられることによって賞味期限は近づいてきます。しかし先ほども述べたように、その賞味期限に気づけるか気づけないかは人によって違います。ふだんからそのことばがつかわれている世界に接続されており、アンテナを高くはっていれば、その賞味期限を判断することができるでしょう。

 一方で、たまたま通りかかり、個人的に斬新だと思った言い回しだったとしても、その世界ではとっくにつかい古されたものであるという可能性も十分にあります。そんなことも知らずに、その言い回しをつかってしまうと、一定数の人たちからはドン引きされてしまうかもしれません。事実、「お布団が離してくれない」という類の表現を見かけると「さすがにもういいだろ...」と思ってしまいます。

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 ノシ