ツイートの3行目

ツイートは2行まで。3行目からをここに書いていきます。毎朝6時に更新します。

【土】理科の実験は可能性を狭めていく活動

 

 おはようございます。コンビニの食べ物ってここ数年で急激においしくなりましたよね。特にセブンイレブンは本当にすごいなと思います。味がおいしいのはもちろんですが、他のコンビニと比べても圧倒的に「おいしそうに見せる」のが上手です。

 おすすめは「牛肉かき玉あんかけうどん」「ごまドレッシングの豚しゃぶパスタサラダ」「こだわりの特性豚まん」です。ただ、少し調べてみると、地域によっては売られていないところもあるみたいですね。全国にあるセブンイレブンですが、陳列されている商品は地域によって違う。学校もそうあるべきなのかもしれません。どうも、インクです。

 

理科の実験は可能性を狭めていく活動

  小学校の理科では、4年生から理科室をつかった本格的な実験が始まります。最初の単元は「ものの温度と体積」です。空気・水・金属を温めたり冷やしたりして、体積の変化を観察します。温めた空気の体積を調べる実験は以下の3種類です。

  1. 丸底フラスコの口に栓をして温める。
  2. 栓をした丸底フラスコの口を下に向けて温める。
  3. へこませたペットボトルやマヨネーズの容器を温める。

 もちろん、これらの実験の結果は「栓が飛ぶ/ペットボトルやマヨネーズの容器が膨らむ」です。そこから分かることは「空気を温めると体積が大きくなる」ということです。実験を終えたときに、子どもたちがこれらの事実を理解していればOKというわけです。

f:id:taishiowawa:20191207084035p:plain
 

1.結果は教科書に書いてある

 理科の授業の傾向としては、「実験結果の予想」に焦点が当てられることがとても多いです。子どもたちからたくさんの予想が出る授業が「いい授業」とされがちです。きっと「予想を立てる」という活動が、理科的な思考を育むと思われているのでしょう。いざ実験が始まってしまったら、決められた手順で手を動かすしかありませんからね。「結果」も事実が出るわけですから、思考の余地がありません。だからこそ先生たちは「予想」を、必死で考えさせようとするのでしょう。しかし、子どものころにこんなことを思ったことはありませんでしたか。

教科書に結果が書いてあるのにどうしてわざわざ実験するんだろう

 今の子どもたちは、塾に通っていたり、通信教育を受けていたりしているので、実験をする前から「空気を温めると体積が大きくなる」という事実を知っています。そのような状態で、予想を立てたところであまり意味がありません。既知の事実に基づく予想を立ててもただの予定調和ですし、わざと違う予想を立てるのもおかしな話です。

 つまり、先生のねらいとは裏腹に、結局「予想を立てる」という活動でも子どもたちの思考は働いていません。「予想を立てなさい」と言われるから予想を立て、「この手順に従って実験しなさい」と言われるから実験をしているに過ぎないのです。

 

2.どんな実験をすればいい?

 前述の通り、実験結果を予想する活動にはそこまで期待ができません。だからといって、何も考えずに実験を進めてしまうとただの作業になってしまいます。子どもたちの思考を揺さぶれる場所はどこにあるんだろう。そんなことを考えながら理科の授業をしていたのですが、ふと「実験結果よりも実験方法やその過程を考えさせた方がおもしろいんじゃないか」と思うようになりました。

 つまり、「空気を温めたらどうなると思う?」と問うのではなく、「空気を温めたときの変化を調べるためにはどんな実験をすればいいと思う?」と問うのです。もちろん子どもたちは、普段の生活で、意図的に空気を温めようと思ったことなんて一度もありません。どうすれば空気を温めることができるんだろう。ここで子どもたちの思考は動き始めます。たとえばこんな意見が出てきます。

・風船をストーブの上におく

・ビーチボールをお風呂に浮かべる

・膨らませたビニール袋を作って暖房をつける

 こんなことを考えていく過程で、実は2つの大切な要点をおさえていることになります。それは、実験として「変化がわかりやすいものでなくてはならない」ということ。そして、そのためにも「変化を予想しなければならない」ということです。要するに、「実験方法を考える」という活動の中に「実験結果を予想する」という活動も内包されているのです。

  1. 丸底フラスコの口に栓をして温める。

 もちろん、子たちが考えた実験方法をすべて実行に移せるのが理想なのですが、時数の問題もありますので、なかなかそういうわけにはいきません。だから、実験方法を十分に考えた後に「じゃあ今からこんな実験をするよ」と上記の実験方法を説明します。

 すると、子どもたちは「ああ!なるほどな!そういうことか!」という反応を示します。 子どもたちの思考の中に「フラスコ」という概念は存在しないので、必然的に生活経験の中でしか考えることができません。言わば、教科書に載っている実験は抽象化された状態なのです。変化がもっとも分かりやすく表れる最適解です。

 あらかじめ自分たちで実験方法を考えるという活動をしているからこそ、その抽象化された最適解を目にしたときに「ああ!なるほどな!そういうことか!」という反応が生まれるのです。

f:id:taishiowawa:20191207083245j:plain

 

3.実験をするからには理由がある

 はじめに書いたように空気を温める実験は、ぜんぶで3種類行います。ここで考えなければならないのが「どうして3種類も行うのか」ということです。もう一度、実験内容をコピペしておきますね。

  1. 丸底フラスコの口にせんをして温める。
  2. 栓をした丸底フラスコの口を下に向けて温める。
  3. へこませたペットボトルやマヨネーズの容器を温める。

 お分かりの通り、1番の実験をすると、栓がポンッと飛び出します。もちろん理由は、フラスコの中の空気の体積が大きくなったからです。子どもたちも同じように答えます。はじめから知っていた事実どおりの結果が出たに過ぎません。

 しかし、この実験だけで「空気を温めると体積が大きくなる」と言い切ることはできないのです。ここが理科実験の肝だと言えるでしょう。この実験だけだと「空気を温めると上に移動する」という可能性も十分に考えられるのです。空気が勢いよく上に移動したから栓が飛んだというわけです。正確な空気の性質を調べようと思ったら、これらの可能性を狭めていく必要があります。

 だから、フラスコの口を下に向けて同じ実験を行います(2番)。それでも栓が飛ぶのなら 「空気を温めると体積が大きくなる」、栓が飛ばないのなら「空気を温めると上に移動する」という事実が出てきます。ここまでして、はじめてひとつの事実に絞り込むことができるのです。

 子どもたちには、この「実験を行う必然性」を考えさせなければなりません。もし、1番の実験を終えた段階で「空気を温めると上に移動する」という意見が出てこなければ、先に2番の実験方法を提示して「今からこんな実験をするんだけどなんのためにすると思う?」と聞いてみるといいかもしれません。理科の実験は、結果を出すことに価値があるのではなく、「あらゆる可能性を洗い出して、それを狭める方法を考えていく」ことに価値があるのです。

3.へこませたペットボトルやマヨネーズの容器を温める。

 それでは、最後のひとつは読者の皆様も一緒に考えてみてください。1番と2番の実験を通して「空気を温めると体積が大きくなる」というひとつの事実に絞り込むことができました。それなのに、どうしてわざわざ3番のような実験をするのでしょうか。時間を割いて実験をするからには、必ず何かしらの理由があるはずなのです。身の周りにあるものをつかったただの「確認」ではありません。ぜひ考えてみてください。

 

 

 理科の実験は楽しいので、どうしても「楽しい」だけで終わってしまいがちです。もちろん「楽しい」という感動体験は大切ですが、やはり考えなければ意味がありません。よく「生活と結びつけなければならない」と言われますが、本当の意味で生活と結びつくのは、実験から導き出された結果ではなく、その過程で経験した考え方です。「あらゆる可能性を洗い出して、それを狭める方法を考えていく」という考え方はきっといろいろな場面で生きてくることになるでしょう。

 他教科でも同じです。教科書に書かれた事実を勉強しているわけではありません。よく「オレは日本に住み続けるから英語なんて勉強しなくてもいい」だとか「大人になって二次関数をつかうことなんてない」だとか言っていますが、そうではないのです。私たちは勉強を通して、それぞれの「考え方」を学んでいるのです。