ツイートの3行目

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【水】大人になって分かる劇団ひとりのかっこよさ

 

 おはようございます。子どものころに後部座席から見ていた道を、大人になって自分の運転で走ると、新しい発見がたくさんあります。見覚えのある道はここに繋がっていたのか!だとか、ここってこんなに近かったんだ!とか。地元のスーパーでも同じような感覚を味わうことができます。よく行っていたここのスーパーってこのくらいの価格帯だったんだ!とか、わざわざあのスーパーまで行っていたのは野菜が安かったからだったのか!とか。同じものを見ているはずなのに、見え方が違うというのはとてもおもしろいなと思いました。どうも、インクです。

 

大人になって分かる劇団ひとりのかっこよさ

 好きな芸人はと聞かれたら、間違いなく「ラーメンズ」と答えます。ラーメンズ小林賢太郎片桐仁によるコントユニットで、今でもカルト的人気を誇っています。小林賢太郎は今でも様々な形で舞台に立ち続けており、ロクな宣伝もせずにチケットを即完させます。片桐仁は俳優として活躍しており、最近だとドラマ『あなたの番です』の出演が記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

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(左:小林賢太郎、右:片桐仁

 彼らが他の芸人と大きく違ったのは、負け姿を見せることを辞めた点にありました。「コントをする人」と「テレビに出る人」はまったくの別物だと捉え、小林賢太郎が特に苦手としていたテレビ出演を、ある時点からぱたりと辞めたのです。今でこそキングコング西野亮廣が「ひな壇に出ない」と発言して炎上していましたが、もっと昔にこの男が同じことをしていたのです。

 当時のテレビなんて最盛期ですから、テレビに出るために頑張っていた芸人もたくさんいたことでしょう。そんな中でテレビという選択肢を自ら切り捨てたのですから、そりゃあ芸人仲間からは煙たがられました。ただでさえ、理屈っぽいひねくれ者でしたので、きっとバラエティ番組のような場所では息がしづらかったのだろうなと思います。

 そんな外野の声を、作品のクオリティだけで黙らせていったのが彼らのすごいところです。過去の番組で、水道橋博士に「10年後も同じことが言えているかどうかだよね」と言われていましたが、10年以上経った今でもそのスタンスを崩すことなく圧倒的な人気を誇っています。作品自体はもちろんですが、この生き様に根強いファンがついているのだろうなと思います。

 同世代の芸人としては、バナナマンおぎやはぎ、東京03(当時はアルファルファ)などがいます。今でも大活躍している芸人さんたちですね。彼らはラーメンズの実力を認めており、当時から一緒にコントライブなどを行っていました。タイトルにも登場している劇団ひとりも、この世代の芸人です。メンバーを見ると『ゴッドタン』を思い出す方もたくさんいるのではないでしょうか。カジサックのYouTubeチャンネルでプロデューサーの佐久間さんが色々と語っているので、興味がある方はぜひご覧になってみてください。→ 【超裏話】ゴッドタンを作った佐久間宣行さんが赤裸々に語る - YouTube

 そんな劇団ひとりですが、考え方はラーメンズと正反対でした。言わば「負け姿を見せてこそ芸人だ」という考え方です。今でこそゴールデンの司会を務めるなど、器用に芸能界を生き抜くスキルを身につけていますが、根っこは当時から変わっていません。負けて負けて、その姿を笑ってもらう。これもひとつの生き様です。

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西野亮廣と自分の髪をどれだけ切れるかというチキンレースをする劇団ひとり

 ラーメンズ劇団ひとりは、考え方は違えど、仲が悪いわけではありません。ただ、進む道が違っただけです。両者のかっこいいところは、自分の信念を曲げずに、努力し続け、今こうして結果を残しているというところです。ラーメンズは、努力の跡を見せずに、できあがった作品のクオリティでファンをつけました。劇団ひとりは、その泥臭い努力までをも包み隠さず表現しファンをつけました。 

 一見すると、ラーメンズの方がスマートでオシャレでかっこよく思えるのですが、大人になってみると劇団ひとりの生き様もすごくかっこいいことに気がつきます。誰もが「テレビ出演」に圧倒的価値を感じている中で、自分の信じる道を徹底的に進み続けた姿がそこにはあります。劇団ひとりも、水道橋博士ラーメンズに言及したときの番組に一緒に出演していたのですが、そこでこのように言っていました。「かっちょ悪いのがかっこいい」と。きっと過酷な道だったと思います。表面的なところだけで判断されて、本当にただかっちょ悪いだけだと思われてしまったり、何でもやる軽いやつだと思われてしまったり、一般人には想像できないようなことがたくさんあったことでしょう。

 しかし、何度も言うように、10年前のスタンスを曲げることなく突き進んできたからこそ、今の劇団ひとりがあり、今のラーメンズがあります。ひとつの明確な目的があり、そのためなら何だってする。そんな強い信念が、生き様が、彼らの周りに人を集めてきたのです。

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 少し前から流行っている『フリースタイルダンジョン』のようなラップバトルも、まさにこの「生き様」のぶつかり合いです。中途半端な信念しかもたないラッパーたちは、ことごとく淘汰されていきます。

 頑固でこだわりの強い人は嫌がられることが多いですが、その頑固さやこだわりがその人の魅力になるのです。改めて、自分が大事にするべきこだわりを考え直してもいいのかもしれません。よく「こだわりをなくせ」だとか「プライドを捨てろ」だなんてことばを耳にしますが、自分が自分であるために、絶対に捨ててはいけないこだわりやプライドがあるはずです。それだけは死守した上で、不要なものはどんどん捨てていけばいいと思います。どうか、あなたの魅力を一緒にゴミ袋に入れてしまわないように気をつけてください。まあ、案外、捨てたくても捨てられないものが、その魅力だったりするんですけどね。